出来高分析|市場で成立した取引からトレンド発生を見極める
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要するに、出来高分析とは
- 市場で成立した取引量である出来高から、相場展開を分析することができる
- トレンドが発生する際には出来高の増加を伴う
- 出来高の増加はトレンド発生よりも早く起こる傾向がある
目次
出来高をアプリで表示
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MT5
出来高分析の基本
テクニカル分析では価格の推移を中心に分析を行うものが多く、インジケーターも価格を対象としたものが目立ちます。
しかし、価格以外にも重要な分析対象があり、その一つとして挙げられるのが出来高です。
この出来高とは、市場における買い注文と売り注文の中で実際に成立した取引量(株数など)のことです。
出来高が多ければそれだけたくさんの数量の取引が行われたということになり、出来高数からは市場における注目度を読み取ることもできるでしょう。
なお、この出来高に関連して、テクニカル分析の元祖と言われているダウ理論における基本原則の一つにおいて、以下のようなことが言われています。
トレンドは出来高でも確認されなければならない
この基本原則は、「本物のトレンドが発生した場合には、同時に出来高も増加する」ということを示しています。
トレンドを見極める上で出来高の推移は重要な要素というわけです。
精度の高いテクニカル分析を行うためには、価格の分析でトレンドを確認するのと併せて出来高の分析を行うことは、非常に大切と言えるでしょう。
では、まず出来高分析の基本として、上昇局面と下落局面における出来高の推移について見ていきす。
なお、ここで取り上げたダウ理論は上記の基本原則以外にも、トレンドの定義をはじめ重要な内容が盛りだくさんです。
以下の記事ではダウ理論について詳細に解説しているので、興味のある人はぜひチェックしてくださいね。
上昇トレンドにおける出来高
出来高が大きいというのは、それだけ買いたい人も売りたい人も多いということです。
上昇トレンドが始まる前の段階においては、価格が低調に推移しており、買いたいと考える投資家は少なく、早く売ってしまいたいと考える投資家が多い状態が考えられます。
この状態から徐々に買いたいと考える投資家が増えていくと、売りたいと考えている投資家との間で取引が成立するようになり、価格は上昇しないものの出来高が増えていくでしょう。
このような形で、上昇トレンドの初期段階においては、価格の上昇よりも出来高の増加が先行するという現象がよく見られます。
この「株価よりも出来高が先行する」という性質は、出来高分析における重要なポイントです。
この初期段階を経過すると、出来高を伴いながら実際に価格も上昇していく流れになっていきます。
上の画像左側のように出来高を伴いながら上昇するということは、多くの売り注文が出る中、それ以上の買い注文が出ているということで、買い圧力が非常に強いことが読み取れます。
逆に言うと、上の画像右側のように上昇していても出来高を伴っていない場合、買い圧力が強いと判断することはできないため、本当に上昇トレンドにつながるかは注意が必要となるでしょう。
なお、上昇トレンドの中でも、出来高は常に増加し続けるわけではなく、上の画像左側のように減少することもあります。
上昇トレンドではトレンド方向に伸びる期間と調整する期間が交互に訪れますが、これは調整する期間において見られる現象です。
一時的な相場の過熱感によって、買いたいと考える投資家が減っていることをイメージするといいでしょう。
ただし、このような単なる調整として出来高が減少するケースもありますが、上の画像右側のように上昇トレンドの最終段階での出来高が減少した場合、下落トレンドへと移行する可能性があるので注意が必要です。
こちらは、例えば、買い方の目標値達成後や、乗り遅れた投資家が一気に集まって価格の急伸とともに出来高が急増するバイイングクライマックスの後などにおいて、これ以上買いたいと考える投資家がいなくなっているような状態をイメージしてください。
上昇トレンドにおける出来高の減少については、この両者の見極めが非常に重要となるでしょう。
その際には、出来高分析に併せて価格面からのオシレーター分析などを行うことが有用です。
上記の内容は、ダウ理論における基本原則である「主要トレンドは3段階からなる」を理解すると頭に入りやすいと思います。興味のある人は、以下の記事でチェックすることをおすすめします。
下落トレンドにおける出来高
下落トレンドは上昇トレンドと逆で、売りたい人が買いたい人よりも多い状態に起こる現象です。
買いたいと考える投資家が多くいる状態で、それ以上に売りたいと考える投資家が増えてくれば、出来高を多く伴いながら価格は下落していくことになります。
上の画像左側のように、下落トレンドの中で出来高が増加しながら価格が下落している状態は、売り圧力が非常強いと言うことができるでしょう。
ただし、下落トレンドの最終局面においては、逃げ遅れて焦った投資家が投げ売りを行うことで、上の画像右側のように出来高の急増を伴って価格が急落する、「セリングクライマックス」と呼ばれる現象が起こることがあります。
こういった現象が起こった場合には、その後は価格の値頃感などから買いたいと考える投資家が増えていき、上昇へと転じていくケースがあることも、頭に入れておきたいところです。
下落トレンドにおいても、上の画像左側のように出来高の減少が見られるケースがよく見られます。
この出来高の減少からは、相場を下落させる売り圧力が弱まっていることが読み取れるため、一時的な反発上昇を起こす要因になることがあります。
ただし、そういった上昇につながらない場合には、そもそも買いたい投資家が増えてこないという背景があるのかもしれません。
これは、例えば業績上昇が見込めないといったケースなどが考えられますが、上の画像右側のようにその下落が長期化してしまうこともあるでしょう。
こういった場合には、一気に価格が急落するといった可能性についても頭に入れておいた方がいいでしょう。
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出来高分析のインジケーター
出来高分析をより詳細に行うために、さまざまなインジケーターが開発されてきました。
具体的なインジケーターとしては、以下のようなものが挙げられます。
- チャイキン・マネーフロー(CMF)
- アキュムレーション・ディストリビューション・ライン(ADL)
- エルダー勢力指数(EFI)
- マネーフロー指数(MFI)
- オンバランス出来高(OBV)
- 出来高オシレーター(VO)
- 価格出来高トレンド(PVT)
- 出来高レシオ(VR)
- 出来高RSI(VRSI)
- 出来高ROC(VROC)
では、上記のインジケーターについて、それぞれ見ていきましょう。
計算式とその意味合い、使い方といった基本的なところを解説していくので、自分に合ったものを見つけていただければと思います。
チャイキン・マネーフロー(CMF)
チャイキン・マネーフロー(CMF)は、以下の計算式で求められます。
MFM={(終値-安値)-(高値-終値)}÷(高値-安値)
CMF=過去N日における(MFM×出来高)の合計÷過去N日における出来高の合計
CMFは、マネーフロー乗数(MFM)という上昇や下落の勢いの強さを表す値から算出されます。
上の計算式を見てみると、MFMは安値から終値にかけて上昇した値幅と高値から終値までの下落値幅の差が、高値と安値の値幅をベースにどれだけの大きさかを示しています。
MFMが動く範囲は-1~1です。終値が高値となったときに上限の1となり、終値が安値となったときに下限の-1になります。
例えば、強く上昇しているときには、安値から終値への上昇幅は大きくなり、高値から終値への下落幅は小さくなるため、MFMは大きくなります。逆に、強く下落しているときには、小さくなります。
CMFは、このMFMに出来高を乗じたものを過去日本分合計し、過去N本分の出来高合計で割っています。(要は、出来高ベースで加重移動平均を取っているイメージです。)
これによって、CMFには、過去N日分のMFMについて、出来高が大きいときのMFMの値の影響が強く出る仕組みになっています。
なお、CMFは-1~1の範囲で推移します。仮に過去のN本においてMFMがずっと1であればCMFは1に、MFMがずっと-1であればCMFは-1になる形です。
上の画像では、CMFをサブチャートに表示しています。
このCMFからは相場の上昇圧力の強さ、下落圧力の強さが読み取れます。
CMF-1~1の間を推移しますが、値が大きいほど上昇圧力が強く、値が小さいほど下落圧力が強いということになります。
上昇圧力と下落圧力が拮抗しているのが真ん中のゼロです。このゼロを境に、強気相場と弱気相場を見極める形です。
なお、CMFが0~0.1のときは弱め強気相場で、0.25を上回ってくると非常に強い強気相場とされています。
同様に、CMFが-0.1~0の時は弱めの弱気相場で、-0.25を下回ってくると非常に強い弱気相場となります。
アキュムレーション・ディストリビューション・ライン(ADL)
アキュムレーション・ディストリビューション・ライン(ADL)は、以下の計算式で求められます。
MFV=MFM×出来高
ADL=前日のADL+現在のMFV
ADLの値は、マネーフロー出来高(MFV)という値を使って算出されます。
MFVとは、前項のCMFのところで紹介したMFMに出来高を乗じて算出される値です。
値幅ベースのMFMに相場において成立した数である出来高を乗じることで、買い集め(アキュムレーション)の圧力や売り抜け(ディストリビューション)の圧力を表すと考えられています。
同じMFMの値であっても、出来高をともなった方が相場の圧力は強いと言えるため、それをMFVでは反映していると言えるでしょう。
ADLは、このMFVをシンプルに過去からずっと足していったものです。
ADLの推移を見ることで、相場におけるエネルギー量がどのように変化していっているのかを読み取ることができます。
上の画像では、ADLをサブチャートに表示しています。
このADLからは相場のトレンド方向を確認することができます。
つまり、基本的に上昇トレンドの発生中にはADLも上昇し、下落トレンドの発生中にはADLも下落します。
このため、トレンド発生時においてはADLの方向性を確認することにより、トレンドが発生していると判断する根拠の一つとすることが可能です。
一方、時には相場とは逆の方向性を示すダイバージェンスが発生することもあります。
この場合には、トレンドの反転が近づいていることを予測することもできるでしょう。
このダイバージェンスについては、以下の記事で詳細に解説しています。こちらもぜひチェックしていただければと思います。
エルダー勢力指数(EFI)
エルダー勢力指数(EFI)は、以下の計算式で求められます。
EFI=(終値-1日前の終値)×出来高
計算式からも分かる通り、EFIは終値の前日比に出来高を乗じた値です。
単純に前日比でいくら終値が変化しただけではなく、出来高を乗じることによって相場のエネルギーを捉えようとしているわけです。
EFIでは、出来高が大きくなっていくほど、相場の圧力が強くなると評価されることになります。
EFIは0を中心に上下に推移します。なお、上限や下限はありません。
終値が前日より上昇していればプラスに、終値が前日より下落していればマイナスになる形です。
上の画像では、EFIをサブチャートに表示しています。
EFIを考案したエルダーは、EFIの2日EMA(指数平滑移動平均線)と13日EMAを使用していました。
EFIの2日EMAを使用する際の売買シグナルについて、簡単に紹介しておきましょう。
まずは、トレンド発生時に押し目買いや戻り売りを狙うタイミングの判断方法です。
- 上昇トレンド発生時にEFIの2日EMAが0を下回ると買い
- 下落トレンド発生時にEFIの2日EMAが0を上回ると売り
また、トレンドの反転を狙う際には、以下のようにダイバージェンスで判断を行います。
- チャートの安値更新時にEFIの2日EMAが安値を更新しなかったときは買い
- チャートの高値更新時にEFIの2日EMAが高値を更新しなかったときは売り
最後に、EFIの13日EMAについては、トレンドの方向性を把握するのに使用します。
- EFIの13日EMAがプラスを推移しているときは上昇トレンド中
- EFIの13日EMAがマイナスを推移しているときは下落トレンド中
- EFIの13日EMAの高値更新・安値更新時はトレンドが続く可能性が高い
マネーフロー指数(MFI)
エルダー勢力指数(MFI)は、以下の計算式で求められます。
TP=(高値+安値+終値)÷3
MF=TP×出来高
PMF=過去N日間においてTPが上昇した日のMFの合計
NMF=過去N日間においてTPが上昇しなかった日のMFの合計
MR=PMF÷NMF
MFI=100-{100÷(1+MR)}
上記が正式な計算式ですが、以下のように変形した方が分かりやすいかもしれません。
MFI=PMF÷(PMF+NMF)×100
1+MR=(PMF+NMF)÷NMF
MFI=100-{100÷(1+MR)}
={1-1÷(1+MR)}×100
=〔1-1÷{(PMF+NMF)÷NMF)〕×100
={1-NMF÷(PFM+NMF)}×100
=PFM÷(PMF+NMF)×100
MFIでは、高値・安値・終値の平均であるティプカルプライス(TP)に出来高を乗じたマネーフロー(MF)をベースに計算を行います。
過去N日間において、TP上昇時のMFを合計したものをポジティブMF(PMF)、TP下落時のMFを合計したものをネガティブMF(NMF)として、PMFとNMFの合計のうちPMFが何割かを示したのがMFIです。
お気付きの人もいるかもしれませんが、この計算式は代表的なオシレーター系インジケーターであるRSIと同じ構造をしています。
このため、MFIは出来高加重RSIと呼ばれることもあります。
MFIとRSIが異なっているのは、終値ではなくTPが使われている点と、出来高が加味されている点です。
なお、RSIは相場の過熱感を読み取って、相場の買われ過ぎや売られ過ぎを判断するインジケーターです。詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
上の画像では、MFIをサブチャートに表示しています。
このMFIの使い方は基本的にRSIと同じで、20~30%に下方基準線を、70~80%に上方基準線を引き、以下のような判断を行います。
- 上方基準線を上回ると売られ過ぎと判断する
- 下方基準線を下回ると買われ過ぎと判断する
また、チャートとMFIが逆行するダイバージェンスはトレンド転換の予兆の一つとして捉えることもあります。
- チャートの高値更新時にMFIが高値を更新できないと、相場が下落に転じる予兆と判断する
- チャートの安値更新時にMFIが安値を更新できないと、相場が上昇に転じる予兆と判断する
オンバランス出来高(OBV)
オンバランス出来高(OBV)は、以下の計算式で求められます。
・当日終値>前日終値のとき
OBV=前日OBV+当日出来高
・当日終値<前日終値のとき
OBV=前日OBV-当日出来高
・当日終値=前日終値のとき
OBV=前日OBV
このように、OBVは過去の出来高をずっと足したり引いたりして算出される値です。
前日と比べて終値が上昇したときは出来高を足し、終値が下落したときは出来高を引きます。(なお、終値が前日と同値の場合には、前日の値をそのまま引き継ぎ何もしません。)
OBVでは、価格が上昇したときの出来高を買い圧力、価格が下落したときの出来高を売り圧力と捉えます。
買い圧力と売り圧力の差を見ていくことで、相場においてどちらが優勢かを見極めようとしているわけです。
上の画像では、OBVをサブチャートに表示しています。
このOBVから読み取れるのは、相場におけるトレンドの方向性です。
具体的には、以下のような形でOBVを解釈するのが基本となります。
- OBVが上昇傾向の場合は、チャートに上昇トレンドが発生している
- OBVが下落傾向の場合は、チャートに下落トレンドが発生している
なお、OBVは過去の出来高を積み上げて計算するインジケーターです。
よくあるオシレーター系インジケーターのように、一定の範囲内を上下動するわけではないため、上限値・下限値といったものはありません。
そのため、OBVが一定の値を上回ったら買われ過ぎ、一定の値を下回ったら売られ過ぎといった判断はできないので注意しましょう。
出来高オシレーター(PVO)
出来高オシレーター(PVO)は、以下の計算式で求められます。
AVO=N日出来高移動平均-M日出来高移動平均
PVO=AVO÷M日出来高移動平均×100
絶対出来高オシレーター(AVO)は長期移動平均と短期移動平均の差を求めたものです。
価格ベースで同様の計算をする有名なインジケーターとしてMACDがあるため、AVOは出来高MACDと呼ばれることもあります。
なお、移動平均の計算方法としては、単純移動平均(SMA)または指数平滑移動平均(EMA)が用いられるのが基本です。
このAVOを割合で表したのが出来高オシレーター(PVO)となります。
なお、パラメータであるN、Mの設定値は以下を参考にしてください。
『テクニカル分析A-Z』の著者スティーブン・アキレスはN=5、M=10として週足の単純移動平均を用いてPVOを例示している。また、N=12とM=26として日足の指数平滑移動平均を用いる方法もある。
NTAA認定テクニカルアナリスト P.80
上の画像では、PVOをサブチャートに表示しています。
見ての通り、このPVOの動き方は、0を中心として-100%~100%の間を上下動するという形です。
基本的には、PVOがプラスであれば相場の上昇圧力が強く、PVOがマイナスであれば相場の下落圧力が強いと判断します。
その上で、PVOは「出来高は価格に先行する傾向がある」という考え方がベースにあるというのがポイントです。
つまり、PVOから将来の相場展開の先読みができることがあります。具体的には以下のような形です。
- チャートが上昇トレンド時にPVOがマイナスになっている場合、買い圧力が弱まっている可能性がある
- チャートが下落トレンド時にPVOがプラスになっている場合、売り圧力が弱まっている可能性がある
このように、相場のトレンドとPVOが示す方向性が逆になっているときには、相場のトレンドが変わる可能性を意識することになります。
AVOと類似しているMACDについては、以下の記事で詳細に説明しています。興味のある人は、こちらもぜひご覧ください。
価格出来高トレンド(PVT)
価格出来高トレンド(PVT)は、以下の計算式で求められます。
PVT=(当日終値-前日終値)÷前日終値×当日出来高+前日PVT
PVTは、OBVと同じように過去の出来高に基づく値を累計して算出しています。
両者の違いは、OBVが出来高をシンプルに加減していたのに対し、PVTでは価格の変化率に出来高を乗じた値を累計しているという点です。
仮に出来高に変化がなかった場合、チャートとほぼ同じように推移します。
これを踏まえると、PVTは出来高を加味してチャートを調整したものとも言えるでしょう。
ダウ理論の基本原則にもあるように「トレンドは出来高でも確認されなければならない」わけですが、PVTでは出来高を伴わない価格の変化には反応しにくく、出来高を伴った価格の変化に反応しやすいように設計されているわけです。
上の画像では、PVTをサブチャートに表示しています。
このPVTは基本的に価格に連動する形で動きますが、トレンド発生時においてチャートとPVTの動き方に違いが見られることがあります。
こういった現象が発生した場合は、そのトレンドの継続性に注意した方がいいでしょう。
具体的には、以下のような形です。
- チャートに大きな上昇が発生しているがPVTの上昇が弱い場合、上昇が継続しない可能性がある
- チャートに大きな下落が発生しているがPVTの下落が弱い場合、下落が継続しない可能性がある
なお、PVTはOBVと同様に、推移する範囲に上限・下限があるタイプの指標ではありません。
そのため、相場のトレンドを判断する際、特定の値を基準に判断できるわけではない点に注意しましょう。
出来高レシオ(VR)
出来高レシオ(VR)は、以下の計算式で求められます。
VR=(過去N日間における終値上昇時の出来高合計+0.5×過去N日間における終値横ばい時の出来高合計)÷(過去N日間における終値下落時の出来高合計+0.5×過去N日間における終値横ばい時の出来高合計)×100
※N=14がデフォルト
なお、終値横ばい時を省略した以下のような計算式が用いられることもあります。
VR=過去N日間における終値上昇時の出来高合計÷過去N日間における終値下落時の出来高合計×100
※N=5がデフォルト
VRはOBVと似ていますが、OBVが上昇時と下落時の差を累積しているのに対して、VRでは過去の一定期間における上昇時と下落時の比を取っている形です。
仮に相場が均衡しており、上昇時と下落時の出来高合計が同じであれば、VRの値は1となります。
一方、上昇時の出来高が大きければVRの値は上限なく大きくなり、下落時の出来高合計が大きければVRの値はゼロを下限に小さくなっていきます。
上の画像では、VRをサブチャートに表示しています。
なお、ここで使用しているインジケーターは、VRの計算式における分母が過去N日間の出来高合計となっています。(このようにインジケーターで使用されている計算式は微妙に異なることがあるため、できればソースコードも確認しておいた方がいいでしょう。)
そのため、上昇と下落が均衡するのは50%となる点、ご注意ください。また、この関係で上限値は100%、下限値は0%となります。
VRの基本的な使い方としては、相場の均衡状態である1(上チャートでは50%)のラインを抜けたところで、トレンドが生まれたと判断します。
具体的には、以下のように判断を行います。
- VRが1(上チャートでは50%)ラインを下から上に抜けたら買い
- VRが1(上チャートでは50%)ラインを上から下に抜けたら売り
なお、VRの水準から買われ過ぎ・売られ過ぎといった過熱感を判断することも可能です。
ただし、その水準については分析対象によって変わってきます。
そんため、バックテストを通じて分析対象を検証することにより、有効に機能しやすい水準を見つけることが大切です。
なお、バックテストに関しては、以下の記事で詳細に解説しています。具体的なツールも紹介しているので、ぜひご覧いただければと思います。
出来高RSI(VRSI)
出来高RSI(VRSI)は、以下の計算式で求められます。
VRSI=過去N日間において前日比での出来高増加幅の合計÷(過去N日間において前日比出来高減少幅の合計+過去N日間において前日比出来高増加幅の合計)×100
VRSIは名前の通り、RSIにおける価格をそのまま出来高に置き換えて計算して算出したものです。
なお、RSIに似たインジケーターとしてEFIを紹介していますが、EFIは価格に出来高を乗じたものを使って計算していたのに対して、VRSIは純粋に出来高のみで計算を行っています。
考え方としては、出来高の増加を買い圧力、出来高の減少を売り圧力と捉えた上で、両者のバランスを表現しているという形です。
両者が均衡している状態ではVRSIは50%となり、買い圧力が強まれば100%を上限に上昇し、売り圧力が強まれば0%を下限に下落します。
上の画像では、VRSIをサブチャートに表示しています。
このVRSIは基本的に、買い圧力と売り圧力が均衡している50%を中心として、50%を超えると買い圧力が優勢、50%を下回ると売り圧力が優勢という見方をします。
その上で、一定水準を上回れば買われ過ぎ、一定水準を下回れば売られ過ぎといった判断も可能です。
ただし、この水準については、分析対象ごとにバックテストを通じて検証することが大切でしょう。
その他、チャートとVRSIが逆行するダイバージェンスが発生については、他のオシレーター系インジケーターと同様に、トレンド転換を暗示する兆候の一つとして捉えることもできます。
なお、出来高については、相場が混乱状態に陥ったときなど、突発的に増加することが考えられます。
こういった場合、出来高のみで計算されるVRSIが例外的な動きを示すことがあるという点については留意しておきたいところです。
出来高ROC(VROC)
出来高ROC(VROC)は、以下の計算式で求められます。
VROC=(当日出来高-N日前の出来高)÷N日前の出来高×100
VROCは、N日前の出来高と比較して、当日出来高がどれだけの割合増減したかを示す値です。
オシレーター系インジケーターであるROCと計算式の構造は同じで、相違点は価格を出来高に置き換えているところだけです。
パラメータのNに使用する設定値については、以下を参考にしてください。
計算期間Nは任意だが、海外では個別銘柄の例としてはN=12を用いる場合がある。日本では、日足移動平均の標準値である25日や、一目均衡表の遅行スパンを意識した26日を用いることが多いようだ。
NTAA認定テクニカルアナリスト P.84
上の画像では、VROCをサブチャートに表示しています。
出来高分析の基本でも触れた通り、出来高はトレンドの初期段階において増加する傾向があります。
そのため、VROCの上昇からはトレンドの発生を捉えることができると考えられます。
ただし、当日の出来高の水準に関わらず、計算基準となるN日前の出来高の影響が大きい点には注意が必要です。
例えば、N日前の出来高が極端に小さいようなケースでは、当日の出来高が通常の水準であってもVROCが極端な上昇を示すことになります。
この点も踏まえて、VROCの上昇については慎重に確認しておきたいところです。
また、株式市場において、出来高の増加は投資家の注目が集まっていることを意味します。
このため、投資家の注目銘柄のランキングという観点で、VROCが用いられることもあります。
VROCは一つの分析対象の推移を見るだけでなく、複数の分析対象を比較する際にも使えるインジケーターと言えるでしょう。
出来高分析の注意点、懸念点
出来高分析の基本と、出来高分析に利用するインジケーターを紹介してきました。
これらは有効に機能することも多いですが、実際に使用する際には注意しておきたい点もあります。
この章では、出来高分析に関する注意点や懸念点について、丁寧に解説していきます。
市場参加者の心理を考慮する必要がある
仮に市場参加者が完全に合理的な行動を取るのであれば、理論的には価格におけるトレンドと出来高の間には一定の相関性を保ち続けることが考えられます。
しかし、実際の相場においては市場参加者が非合理な行動を取ることもあり、この相関性が崩れることもしばしば起こります。
例としては、下落相場の最終局面における急落時に出来高が急増するセリングクライマックスが挙げられます。
上の画像では小松製作所の週足チャートを表示していますが、2020年3月頃の大きな下落では出来高の急増が確認できます。
これは市場参加者の予想を超える下落によって、市場参加者が過剰反応したことが引き起こす現象と言えるでしょう。
また、株式相場における上昇局面と下落局面を比較すると、以下のような現象も確認できます。
価格の上昇が期待される場面で買い注文が増え、下降が予想される場面で買い注文が手控えられる傾向がある。このため、上昇局面と下降局面で出来高の非対称性が生まれる。
NTAA認定テクニカルアナリスト P.86
このように、実際の相場においては、市場参加者が合理的な行動を取るわけではないため、必ずしも出来高が理論的に推移するとは限りません。
出来高分析の理論的な部分はしっかりと理解した上で、市場参加者の非合理的行動を生み出す心理面も考慮した判断が必要になるわけです。
出来高分析を乱す要素がある
出来高分析を有効となる環境としては、買い圧力と売り圧力のバランスによって相場が安定的に推移しているのが理想的です。
しかし、実際の相場においては、しばしばこのバランスが崩れてしまい、出来高分析が乱されることがあります。
例えば、普段から出来高が非常に少ない小型株などをイメージすると分かりやすいでしょう。
このような銘柄の場合、資金力のある投資家がちょっとした大口の注文を入れるだけで、価格や出来高に急激な変動が起こってしまいます。
すると各種インジケーターは異常な値を示すことになり、出来高分析が有効には行えなくなるわけです。
また、株価指数の先物取引やオプション取引においては、最終決済の価格となるSQ(特別清算指数)の算出日(SQ日)が、毎月の第2金曜日に訪れます。
SQは利益を左右する非常に重要な値であるため、SQ日の直前にはSQを意識して取引が活発となることがあります。(3、6、9、12月のメジャーSQにおいては特に顕著です。)
こういった外部要因によって出来高が左右されると、出来高分析の連続性は失われてしまうわけです。
出来高分析を行う上で、出来高を左右する需給以外の要因があることはあらかじめ認識しておくことが大切と言えるでしょう。
出来高分析の成り立ち
テクニカル分析において出来高は古くから認識されていたと考えられます。
事実、冒頭で紹介したように、テクニカル分析の元祖と言われるダウ理論に基本原則において、すでに出来高という概念が取り入れられています。
つまり、ダウ理論が構築されていく19世紀末には、すでに出来高を取り入れた分析が行われてたと言っていいでしょう。
1930年代に入ると、リチャード・ワイコフによってワイコフ理論が提唱されますが、この中でも需要と供給を示す出来高が重要な要素となっています。
1960年代には、グランビルの法則で有名なジョゼフ・グランビルがOBVを考案します。
この頃から、現在のように価格チャートとは独立させて、出来高という情報が棒グラフで表現される形が確立していきました。
OBVはシンプルに出来高を扱ったインジケーターでしたが、その後は出来高と価格を組み合わされたインジケーターも数多く考案されました。
今後も出来高分析についての研究が進み、テクニカル分析における活用範囲が広がっていくことが期待されます。
豆知識
今回、出来高分析について解説してきましたが、FXにおいては出来高分析が活用されることがあまり多くありません。
これは、株式や商品先物のように取引所において取引が行われるわけでなく、為替取引の出来高の全体を把握することが難しいからです。
少し細かく見ると、FXは次の画像で示したような形で取引が行われる仕組みになっています。
為替相場は、数多くの金融機関同士が相対取引を行っていく中で為替レートが形成されています。
これをインターバンク市場と呼びますが、これは特定の取引所を指しているわけではなく、さまざまなところで取引が行われています。
そのため、それら全体の取引量を把握することは現実的ではないわけです。
ちなみに、インターバンク市場における為替レートをもとにFX会社は売買価格をトレーダーに提示して、トレーダーはFX会社と直接取引をしています。
FX会社はトレーダーとの間で成立したポジションを抱え、これを適宜カバー先の銀行を通じてインターバンク市場に流しているという形です。
FX会社はトレーダーとの間の取引量は把握できますが、それが為替相場全体の取引量というわけではありません。
こういったことから為替相場の出来高をリアルタイムで正確に把握できないため、あまり出来高分析が普及していないと考えられます。
シカゴIMM通貨先物ポジション(投機筋)
為替相場の出来高に類似した情報として、一般的によく使われるのがシカゴIMM通貨先物ポジション(投機筋)です。
これは、世界屈指の取引規模を誇るシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場における、投機筋の各国通貨のポジション(ロング・ショート)を示したもので、毎週公表されています。
あくまでもCMEにおける通貨先物のポジション状況を示したものであり、情報のスピードも早くありません。
とはいえ、機関投資家が持っている通貨のポジションの偏りが大まかにでも分かるということで、時には有用な情報を得られることもあるでしょう。
用語
- 出来高
- トレンド
- ダウ理論
- バイイングクライマックス
- セリングクライマックス
- チャイキン・マネーフロー(CMF)
- アキュムレーション・ディストリビューション・ライン(ADL)
- エルダー勢力指数(EFI)
- マネーフロー指数(MFI)
- オンバランス出来高(OBV)
- 出来高オシレーター(VO)
- 価格出来高トレンド(PVT)
- 出来高レシオ(VR)
- 出来高RSI(VRSI)
- 出来高ROC(VROC)
- 移動平均線
- RSI
- MACD
- ROC
- SQ(特別清算指数)
- ワイコフ理論
- グランビルの法則
- インターバンク市場
- シカゴIMM通貨先物ポジション
出来高が確認できる証券会社/仮想通貨取引所
出来高は、以下の証券会社や仮想通貨取引所で確認できます。
証券会社
- SBI証券
- 楽天証券
- 松井証券
仮想通貨取引所
- bitFlyer
- Coincheck
- GMOコイン
- DMM Bitcoin
- bitbank
出来高がMT4/5で確認できるか
MT4やMT5は主にFXの取引で使用されるツールですが、Volumesという情報を棒グラフで表示することができます。
このVolumesは直訳すると出来高ですが、実際にはTick数(レートが変化した数)が表示されている点に注意が必要です。
出来高とTick数は意味合いが異なりますが、Tick数と価格の間にも規則性のようなものが発見できるかもしれません。
ぜひバックテストを通じて、丁寧に検証していただければと思います。