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ボリンジャーバンドの全て
相場を分析したりトレンドやボラティリティを視覚的に捉えることができるボリンジャーバンドは、多くの投資家が使用している人気のテクニカル指標です。
この項ではボリンジャーバンドの成り立ちや何を基に計算されているのかなど、ボリンジャーバンドを紐解いていきます。
目次
最強のテクニカル分析は?
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ボリンジャーバンドと呼ばれる理由
ボリンジャーバンドはアメリカの投資会社ボリンジャー・キャピタルマネジメントの創設者である「ジョン・A・ボリンジャー」が1983年に自身の手法を研究する際に考案したテクニカル指標です。
アメリカのテレビ番組で相場の解説をしていた時に、チャートに表示されたバンドを見て「それは何ですか?」と聞かれた際にまだ名前がなかったので、咄嗟に「ボリンジャーバンド」と答えたと言われています。
そのまま考案者の名前を取り、ボリンジャーバンドとして世の中へ広まっていきました。
ボリンジャーバンドの計算式と正しい意味
ボリンジャーバンドの計算自体は非常に単純で、中央にある移動平均線に対して統計学で用いる「標準偏差」を加減するだけになります。
- ±1σ = 単純移動平均線 ±標準偏差 × 1
- ±2σ = 単純移動平均線 ±標準偏差 × 2
- ±3σ = 単純移動平均線 ±標準偏差 × 3
標準偏差の計算は複雑なのでここでは省きますが、標準偏差が何を調べているのかを簡単にいうと、指定した期間内の終値がその期間の平均値からどれぐらい散らばっているかということを計算しています。
例えば20期間のボリンジャーバンドの場合、20期間分の終値が20SMAからどれぐらい離れているかを見ています。
20SMAから離れた終値が多ければ標準偏差は大きくなり、20SMAから離れた終値が少なければ標準偏差は小さくなります。
この大きさがバンドの幅となってチャート上に表示されます。
±2σや±3σはこの計算された標準偏差を2倍3倍にしているということです。
標準偏差は価格のばらつきを意味する
ボリンジャーバンドにおいての標準偏差は、期間内の終値がSMAに対してどれぐらいばらついているかを表しています。
そのばらつきの平均値が期間内の値幅となり、それを統計学の正規分布の確率に当てはめたものがボリンジャーバンドの各シグマ内に収まる確率表です。
- ±1σ内に価格が収まる確率 = 68.26%
- ±2σ内に価格が収まる確率 = 95.44%
- ±3σ内に価格が収まる確率 = 99.74%
標準偏差をイメージするなら、期間内の平均的な値幅がこれぐらいなので統計学的にその幅に収まる確率はこれぐらいですよという感じになります。
ボリンジャーバンドはボラティリティとトレンドを分析できる
上記の計算からわかることは、バンドの幅でその時点の平均的な値幅を測ることができ、バンドの傾きで上下どちら側に偏って推移しているかを知ることができます。
ということは、ボリンジャーバンドは現在のボラティリティ(価格の変動幅)とトレンド(価格の偏り)の分析を視覚的に判断をするためのツールで、バンドが傾き広がっているときはトレンドが発生し値幅も大きい場面ということになり、市場のエネルギーを可視化するためのテクニカル指標ということになります。
ボリンジャーバンドは統計学による確率論を基にしている
ボリンジャーバンドは正規分布を利用して各シグマ内に収まる確率を基に値動きを想定していきます。
つまり±2σや±3σを超えるような値動きは確率論から言えば異常事態となり、裏を返せば±2σを超える位置に価格があるということはその価格はわずかな確率の分布位置に該当しているので、この後は平均値まで回帰する可能性が高いとも取れます。
この考え方がボリンジャーバンドを使って逆張りをするトレーダーが多い理由です。
ボリンジャーバンドのバンド内に収まる確率
しかし、±2σや±3σを超えて価格が進んでいくことは多々あります。
その理由として、ボリンジャーバンドが計算しているのはあくまで過去の指定した期間内のデータであるということです。
つまり、未来の価格がその中に収まるとは限らず、その期間内の傾向としてバンド内に収まる確率が高いというだけになります。
リアルタイムでは±2σや±3σを突き抜けていても、その大きな値幅が期間内に組み込まれればバンドの幅や傾きは再計算され後から見ると価格がバンド内に収まっているように見えます。
ボリンジャーバンドに限らず、インジケータやオシレーターなどのテクニカル指標は過去の値動きから計算されるので、あくまでもそれまでの傾向としてそうなりやすいということだと理解しておきましょう。
ボリンジャーバンドの見方と使い方
では実際の相場でボリンジャーバンドをどのように使い、どのように見ればいいのかを簡単に見ていきましょう。
ボリンジャーバンドが作る形状や価格との位置関係によって相場がどうなっているのかを把握することができます。
ここでは代表的な3つの動きをご紹介します。
ボリンジャーバンドの幅が収縮する「スクイーズ」
ボリンジャーバンドの幅が収縮して狭くなり、中央のミドルラインに対して上下のラインが近い状態をスクイーズと呼びます。
値動きが小さい状態が続いた時や、一定の幅で価格が上下に行ったり来たりするレンジ相場の時にこのような動きを見せます。
主に小さな幅で推移することに加えて平行に展開することが多く、ボラティリティが無くトレンドも無い状態で大きな利益が狙いづらい状態です。
価格が大きく動く前の小康状態とも言われ、次に紹介するエクスパンションが発生する前に起こりやすい傾向があります。
ボリンジャーバンドの幅が拡大する「エクスパンション」
ボリンジャーバンドの幅が急拡大し、ミドルラインから離れるように上下に広がっていく動きをエクスパンションと呼びます。
これまでよりも急激な値動きが起こった時や、どちらかに一方的に動き始めた時にこのような動きを見せます。
ボリンジャーバンドの幅は値幅を表すので、価格がどちらに動いても動いた分だけバンドは必ず一度上下に同時に開きます。
開いたバンド幅そのものがボラティリティとなり、大きな値動きとともに大きな利益も狙える状態ですが、この状態は長くは続かずトレンドが発生するにしてもバンド幅は徐々に狭くなっていきます。
この状態が発生してからトレンドへ移行するときは、次に紹介するバンドウォークへと移行していきます。
トレンドの強さが分かる「バンドウォーク」
ボリンジャーバンドがエクスパンションを起こし、一方的に価格が動いてトレンドが発生すると価格が±1σと±2σの間を沿うように動くことがあります。
この動きをバンドウォーク と呼びます。
まるで±1σと±2σのバンドの間を歩いているかのように価格が推移し、一方的な強いトレンド相場となります。
例えば上昇の場合、エクスパンションが終了しバンドウォークが始まる前には、下側に開いたマイナス側のバンドは徐々に上向きになり斜め上方向にボリンジャーバンド全体が傾きます。
バンドウォーク が一時的に終わっても、この傾きが崩れるまではトレンドが継続しているとして判断に使うこともできます。
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ボリンジャーバンドを使った売買手法
上記で紹介したボリンジャーバンドの形状や価格との位置関係を使って、売買サインとして使うこともできます。
ここでは代表的な使い方をいくつかご紹介しますので、ご自身の取引スタイルに合わせて参考にしていただければと思います。
スクイーズからのエクスパンションでトレンドの初動を捉える
ボリンジャーバンドがスクイーズを起こし値幅が小さくなったレンジ相場から、エクスパンションを起こしての価格が伸びていく動きの初動を狙います。
この手法を「ボラティリティ・ブレイクアウト」と言います。
直近のボラティリティを超えるような急な値動きを狙う方法で、価格がレンジ相場を抜けてボリンジャーバンドがエクスパンションを起こしたらレンジを抜けた方向へ順張りでついていきます。
スクイーズしたボリンジャーバンド内では価格が±2σを超えることはほとんどないので、±2σを超えるような動きが起こったときは勢いがあると判断しその方向についていく方法です。
決済ポイントは価格がミドルラインまで戻してきた時、またはボリンジャーバンドの拡大が収まった時となります。
バンドウォークでトレンドを追いかける順張り
バンドウォークは±1σと±2σの間を価格が沿うように一方向へ動いている状態でした。
その動きの方向に合わせてトレンドを追いかけ、押し目買いと戻り売りを狙う順張りのトレード手法です。
例えば+2σと+1σの間でバンドウォークが発生していた場合、上昇トレンド中なので価格が+1σまで落ちてきたら押し目買いを行います。
逆に−2σと−1σの間でバンドウォークが発生していた場合は下降トレンド中なので、価格が−1σまで上がってきたら戻り売りを行います。
バンドウォーク 中は±1σを抜けずに価格は伸び続けるであろうことを前提として、その方向へついていく方法です。
含み益でも含み損でも、決済ポイントはミドルラインを実体で破られた時となります。
ボリンジャーバンドを使ったレンジ相場での逆張り
ボリンジャーバンドは統計学を使った確率論に基づき計算されており、±2σ内に収まる確率は95%以上でした。
特に価格が一定幅で推移するレンジ相場ではその傾向が強く出るので、ボリンジャーバンドがスクイーズしている状態を狙ってレンジ内での逆張りを行うトレード手法です。
ボリンジャーバンドが平行に推移している場合、価格が+2σにタッチをしたら売りを行います。
逆に価格が−2σにタッチをしたら買いを行います。
ここで±3σを使用しないのは、レンジ相場では±3σに到達することがほとんどないからです。
また、レンジ内の±2σ内に価格が収まることを前提としてレンジ上限と下限で逆張りを行いますが、いつ価格がエクスパンションを起こしレンジをブレイクするかわからないので、損切りはレンジブレイク時に素早く行なったり、エクスパンションを起こしやすい指標が近い時間帯や市場の切り替え時間は取引を控えるなどの注意も必要です。
決済ポイントは逆側の2σ付近に到達時となります。
他のインジケータと組み合わせて、さらに分析力をあげる
上記3つのボリンジャーバンドを使った手法もやはり万全ではありません。しかしこれに他のトレンド系インジケータを組み合わせることで分析力が一つ上がります。
例えば上昇方向へのバンドウォーク中の押し目買いをする際に、長期の移動平均線も合わせて表示しておくことで長期移動平均線も上昇方向へ傾いていたのなら、買い方向への優位性の根拠をもう一つ足すことができます。
またレンジ内で±2σでの逆張りを行う際に、長期の移動平均線が示す方向にのみポジションをもつことでレンジの逆抜けの可能性が少ない方向にだけトレードを行なったりすることもできます。
このようにボリンジャーバンドだけでなく、他のインジケータを組み合わせてさらに優位性の高いところでトレードを行うようにしましょう。
まとめ:ボリンジャーバンドは万能ではない
ボリンジャーバンドは多くの情報を視覚的に捉えることができ、相場の分析や売買のタイミングなどを教えてくれる優秀なインジケータです。
しかしボリンジャーバンドを使えば確実に取引がうまくいくというわけではありませんので、過信しすぎると失敗を繰り返してしまうことになります。
ボリンジャーバンドは過去のデータからその傾向をチャート上に表示しているだけであり、その設定期間によっても結果は変わってきます。
あくまでもご自身が取引を行う際の目安でしかないということは忘れないようにしておきましょう。
ボリンジャーバンドの全てをまとめた記事です。
この記事ではボリンジャーバンドについて説明しましたが、ボリンジャーバンドについてさらに詳しく知りたい場合は、ボリンジャーバンドまとめ記事を参考にしてください。