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【移動平均線徹底解説】その意味を知れば見方も使い方も手法も丸わかり!

2022年07月25日 公開 
2023年09月06日 更新
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移動平均線は何を見るものなのか?

移動平均線はほとんどのチャートソフトに搭載されており、世界で最もポピュラーなインジケーターです。

しかしその意味や使い方、正しい見方などをちゃんと理解されていないことが現状です。

そもそも移動平均線って何が移動しているのか?

そもそも何がわかるから表示するのか?

そもそも何を見ているのか?

まずは基本的なところから解説していきましょう。

移動平均線は価格の平均値を結んだ折れ線グラフ

移動平均線とは過去の一定期間の価格の平均値を計算し、それを線で結んだ折れ線グラフのことを言います。

その折れ線グラフの傾きや価格との位置関係で、今後の価格がどちらに行きやすいのかを判断するための目安にすることができるトレンドを把握するためのテクニカル指標のひとつです。

一定の期間は任意で決めることができ、5期間とすれば過去5期間の価格の平均値を計算し、20期間とすれば過去20期間の価格の平均値を計算します。

「期間」は表示する時間足に依存され、5分足で5期間なら5分×5期間で25分、日足で5期間なら1日×5期間で5日間の価格の平均値を計算します。

「価格」は四本値から選択できますが、基本的には終値を選択することが基本となっています。

「移動」と名前についている理由は、計算を始める位置から数えて計算するので例えば5分足で現在時刻が30分だった場合は、5分、10分、15分、25分、30分の5つの時間の平均値を求めます。

しかし、35分になったときは頭の5分を計算から外して、10分、15分、25分、30分、35分で平均値を求めます。

このように時間が進むごとに計算対象が移動していくので移動平均線と呼びます。

移動平均線の計算

移動平均線の計算は単純です。

指定された一定の期間内の価格(終値)を全部足して、足した数で割ります。

例えば以下のような価格の推移があったとします。

9日前8日前7日前6日前5日目4日前3日前2日前1日前現在
91円92円93円94円95円96円97円98円99円100円

5期間の移動平均線を計算する場合は過去5期間を足して5で割る作業を繰り返します。

現在の5期間の平均値を求めるには

4日前の96円 + 3日前の97円 + 2日前の98円 + 1日前の99円 + 現在の100円

を全て足して5で割ります。

1日前の平均値を求める場合はそのまま左へ1期間分計算期間を移動します。

また、7期間であれば上記の式に5日前の95円と6日前の94円をさらに足して7で割ります。

このように必要な期間の価格を全て足して、足した期間の数で割るだけです。

そして計算された平均値を線で結んでいくと移動平均線が完成します。

以下に模式図を用意しましたので計算イメージを確認しておいてください。

移動平均線の計算

移動平均線の傾きは価格の勢いの目安

移動平均線の傾きは価格の勢いの方向を視覚的に知ることができる目安とすることができます。

移動平均線は価格が上昇中であれば、計算した期間の平均値が高くなるので右上がりに傾きながら推移します。

逆に価格が下降中であれば、計算した期間の平均値が低くなるので右下がりに傾きながら推移します。

1枚のチャートを見ていただきましょう。

EURUSDの1時間足のチャートに75期間の移動平均線を表示しています。

75期間の移動平均線なので計算地点から過去75本分(75時間)のローソク足の平均値を結んだ折れ線グラフということになります。

移動平均線の傾き

画面右側から中央にかけて価格は右下がりに下降しています。

それを後追いするかのように赤い線で表示した移動平均線も右下がりになっています。

75本分の平均価格が下がり続けていることで移動平均線も一緒に下がっているのです。

ところが画面中央の赤枠で囲ったあたりで価格が上がり始めると、移動平均線の傾きは右下がりから横向きになり傾きが無くなっています。

価格が連続して下がっておらず上昇分の価格も計算に織り込まれ始めたため75本分の平均価格の差が無くなってきている状態です。

そして画面左側へかけて今度は価格が右上がりに上昇し始めています。

それにつられて移動平均線も右上がりに傾き始めました。

75本分の平均価格が上がり始めたため、移動平均線も一緒に右上がりの曲線を描いています。

このように、移動平均線の傾きは価格の方向性を示す目安となります。

右上がりなら上昇トレンドが発生しており、右下がりなら下降トレンドが発生している。

傾きがないのなら方向感がない、と視覚的に判断することができます。

とてもシンプルですが平均値が傾いている方向にこの後も進んでいく可能性は高く、優位性のある判断をすることができるのも移動平均線がたくさんの方に使われる理由の一つです。

移動平均線とローソク足の位置関係でトレンドの優位性を知れる

移動平均線の傾きとともに、移動平均線とローソク足の位置関係にも注目すると価格の向かう方向への優位性を知ることができます。

移動平均線は一定の期間内の平均値を線で結んでいます。

そのため移動平均線よりも価格が上側にある時は平均値よりも高い位置にあることを示し、移動平均線よりも価格が低い位置にあるときは平均値よりも低い位置にあることを示しています。

また1枚のチャートを見ていただきます。

同じくEURUSDの1時間足に75期間の移動平均線を表示しています。

移動平均線とローソク足の位置関係

黄色丸で囲った位置はローソク足が移動平均線の上側に位置しています。

小さな赤丸で囲った位置は一時的な価格の下落が起こった個所です。

短期間ではありますがどれも勢いよく下落していたにもかかわらず、移動平均線を割ることなく再度上昇に転じています。

次に青丸で囲った位置は横向きになった移動平均線を価格が割り込んでローソク足が移動平均線の下側に位置している場面です。

小さな白丸で囲った位置は短期的な価格の上昇が起こった個所です。

先ほどとは逆で今度は移動平均線に抑えられるように、価格は移動平均線を超えられずに下落へ転じています。

移動平均線の傾きとローソク足の位置関係を見た時に、上記のチャートでこのルールが適用されなかったのはオレンジの四角で囲った2ヶ所のみです。

このチャート内では11か所中9か所で移動平均線の傾きとローソク足の位置関係に優位性が確認できました。

この確率の高さも多くのトレーダーが使っている理由の一つです。

移動平均線の期間設定による違い

移動平均線の優位性についてはある程度理解できたかと思います。

するとある疑問が沸き起こります。

「取引を行うのに一番最適な期間はなんだろう」ということです。

ここでは移動平均線の期間設定による違いを解説していきます。

移動平均線に適正な設定期間はない

移動平均線を色々と調べていると必ず突き当たるものが適正な設定期間です。

ただ残念なことに、一言で言ってしまえば適正な設定期間というものはないというのが結論となってしまいます。

しかし、取引スタイルに応じて有効に機能しやすい設定期間というものは存在します。

それを先ほど傾きを確認したチャートでの見え方の違いで確認してみましょう。

上記で75期間の移動平均線でその傾きを確認しましたが、この75という期間を短くすると見え方は大きく変わりますし、逆に75という期間を長くしても見え方が大きく変わります。

この75期間を中期間として、短期間と長期間の移動平均線を実際のチャート画面で見てみます。

中期間の移動平均線は相場の方向性が分かる

まずは先ほどの傾きを確認した75期間の移動平均線です。

方向がわかりやすいように矢印を書き込んでみました。

中期間の移動平均線

左側から大きく下落して中央付近から上昇に転じる動きで、チャート画面に大きなUを描いているように見えます。

方向感がわかりやすく、取引しやすそうなイメージを持てます。

短期間の移動平均線は価格に対して敏感に反応する

では続いて期間を短くしてみます。

移動平均線の期間は20です。

短期間の移動平均線

移動平均線は上がったり下がったりを繰り返しながら進んでいます。

ここで画面左側の下落が続いているところにに注目しましょう。

75期間の移動平均線では右下がりの傾きとローソク足との位置関係から、下落していく方向に対して不安も何もなかったはずですが、20期間ではどうでしょう。

大きく下落した位置から移動平均線を上抜いている箇所があります。

移動平均線も上向きに変わっています。

その後再度下落をしていますが、移動平均線が上向きになり価格も移動平均線の上側にある赤矢印の位置で売りを入れることができるでしょうか。

設定期間が短くなることで移動平均線は価格に対して敏感に反応し、大きな流れを見失うことになります。

逆に上昇方向になったと判断できた位置は75期間よりも早く、画面中央の最安値の次の切り上がった安値の位置で移動平均線は上向きになり価格も上側に位置しています。

敏感に反応するがゆえに大きな流れになる前の小さな動きを判断することもできるということです。

長期間の移動平均線は価格に対しての反応が鈍感になる

続いては期間を大きくしてみます。

移動平均線の期間は200です。

長期間の移動平均線

下落方向と判断できた位置も上昇に転じたと判断できる位置も75期間に比べてかなり遅れて確認できます。

さらに画面左端には緑矢印で示した横向きの期間が確認できます。

画面中央あたりで価格が移動平均線に近づいた時には、すでに価格は長い時間横ばいを経て上向きになっているようにも見えますが、移動平均線は下向きで価格は下側にあります。

つまり200期間の移動平均線ではその時点での優位性はまだ下落方向にある状態だと言えます。

設定期間が長くなることで移動平均線は価格に対しての反応が鈍感になってしまい、転換するタイミングにもかかわらず直前の方向への優位性を示したままになってしまっているということです。

しかし、もし黄色丸の位置から再度下落が起こっていた場合、75期間ではすでに上昇への優位性が始まっている位置ですのでその下落についていくことはできません。

鈍感にゆったりと反応するからこそ、長いトレンドが発生した時に大きな利益を得ることも可能になるのです。

移動平均線の期間の違いから分かったこと

上記の3つのパターンを分析した結果、次のことがわかりました。

細かく短い時間で取引をしたり反発などを狙う短期トレーダーには短期間の移動平均線が有効に機能しやすい。

デイトレードなどひとつの流れを取りに行くタイプのトレーダーには中期間の移動平均線が有効に機能しやすい。

トレンドが終わるまで長期にわたってトレードするスイングタイプのトレーダーには長期間の移動平均線が有効に機能しやすい。

さらには各期間の特徴として次のことがわかりました。

長期移動平均線は相場全体の確認ができる。

中期移動平均線はトレンドの流れを確認できる。

短期移動平均線はエントリータイミングを確認できる。

以上のことから移動平均線を使って相場分析を行い、エントリーのタイミングを計れるのではないかと予想できます。

なお、ここで使用した短期20期間、中期75期間、長期200期間というのは一般的に多く使われていると言われる移動平均線の設定期間です。

日足をベースに考えられていますので設定期間の内訳をご紹介しておきます。

20期間は1か月間の相場の稼働日(土日を除く平日)の平均と言われています。

そのため20ではなく正しい平均値の21や土曜日に相場が開いていた名残で25を使用するトレーダーも多くいますが、どの数値が効きやすいなどの優位性はほとんどありません。

次に75期間ですが3か月間の相場の稼働日を表していると言われています。

本来は四半期の相場の流れを見るためのものですが、25を3倍しているので今の相場では当てはまらないはずです。

しかし期間が長く大きなブレが無いため現在でも75を使用するトレーダーは多く存在します。

最後に200期間ですが、これは1年間の相場稼働日と言われています。

土日や祝日、お盆や正月などを除いた相場稼働日は実質もう少し多いと思いますが、切りのいいところでおおよそといった感じでしょうか。

株式ニュースでは200日移動平均線のどちら側に価格があるのかを解説する場合もありますので、多くの投資家が意識する重要な期間の移動平均線として覚えおきましょう。

移動平均線が示す売買のサイン

移動平均線の期間を変えることで様々なことがわかりました。

ここではそれを応用して期間の違う移動平均線を使って売買タイミングの目安にする方法や、移動平均線とローソク足の位置関係を使った売買サインをご紹介していきます。

2本の移動平均線を使ったゴールデンクロス

期間の違う移動平均線の交差を使って価格の進みやすい方向になるべく早くエントリーできるポイントを探すことができます。

買い方向への移動平均線の交差を「ゴールデンクロス」と呼びます。

期間の長い移動平均線が上向きに傾いている、または平行方向で推移しているときに、期間の短い移動平均線が下から上へ突き抜ける動きを指します。

実際のチャートで確認してみましょう。

EURUSDの1時間足に赤い線で75期間の移動平均線、白い線で20期間の移動平均線を表示しています。

2本の移動平均線のゴールデンクロス

黄色の丸を付けた位置は75期間の移動平均線が上向きまたは平行になっている状態で、下から20期間の移動平均線が突き抜けたタイミングです。

この状況がゴールデンクロスです。

その後の価格推移を見ていただければわかりますが、ゴールデンクロス発生後は上昇していることがわかります。

中期の移動平均線が上向き、または平行状態で、短期の移動平均線も上向きという状況でしか発生しない条件ですので、2つの移動平均線が価格が上昇する方向を同時に示しているということになります。

ゴールデンクロスが示す買いのサインは交差したタイミングです。

売買の優位性は抜けたタイミングが最大となり、進むほど優位性は薄れていきます。

また決済タイミングはこの条件が崩れた場合なので、中期の移動平均線の傾きにかかわらず短期の移動平均線が下抜けたときとなり、チャート画面で×印をつけている位置となります。

中期の移動平均線の傾きが崩れていなければ、2つ目、3つ目の黄色丸のように何度でもゴールデンクロスで買いを入れてもいいでしょう。

2本の移動平均線を使ったデッドクロス

続いて売り方向の移動平均線の交差です。

先ほどのゴールデンクロスとは逆に期間の長い移動平均線が下向き、または平行で推移しているときに、期間の短い移動平均線が上から下へ突き抜ける動きを「デッドクロス」と呼びます。

こちらも実際のチャートで確認してみましょう。

2本の移動平均線のデッドクロス

黄色の丸を付けた位置は75期間の移動平均線が下向きまたは平行になっている状態で、上から20期間の移動平均線が突き抜けデッドクロスが起こったタイミングです。

こちらも同じくデッドクロス発生後は下落していることがわかります。

中期の移動平均線が下向き、または平行状態で、短期の移動平均線も下向きという状況でしか発生しない条件ですので、2つの移動平均線が価格が下落する方向を同時に示しているということになります。

ただし、一番右側のデッドクロス発生時は中期の移動平均線が長い時間平行になっているところからのデッドクロスです。

このような場合は損切りになることもありますので、方向を確認する移動平均線の直前の傾きには注意をしておきましょう。

デッドクロスが示す売りサインも、売買の優位性は交差したタイミングが最大となり進むほど優位性は薄れていきます。

また決済タイミングもこの条件が崩れた場合なので、中期の移動平均線の傾きにかかわらず短期の移動平均線が上抜けたときとなり、チャート画面で×印をつけている位置となります。

また、青丸の位置で短期の移動平均線が中期の移動平均線を上から下抜けていますが、中期の移動平均線の傾きが上に向いているのでこの場合は見送りとなります。

移動平均線とローソク足の位置関係を使った売買サイン

ローソク足が移動平均線よりも上にある時は平均値より価格が高く、下にある時は平均値よりも価格が低いことを示しています。

そうならば、移動平均線が傾いている方向へローソク足が上や下へ抜いていくタイミングは優位性の始まる場所なのではないかと推測できます。

実際のチャートを見てみましょう。

EURUSDの1時間足に75期間の移動平均線を表示しています。

移動平均線とローソク足を使った売買

赤丸の位置は75期間の移動平均線が上向きになっているときに、ローソク足が下から突き抜けたタイミングです。

移動平均線が上向きに傾いているということは価格は上方向へ向かう可能性が高く、そのタイミングで価格が移動平均線よりも上に向かおうとしている状況は、その可能性をより強めてくれる根拠となります。

また、画面左側では移動平均線が下向きに転じています。

その後ローソク足が移動平均線を上から下に抜いたタイミングが発生しています。

こちらも下方向へ価格が向かう可能性の根拠が2つ重なった位置となります。

このように移動平均線を使って売買のタイミングや決済のタイミングを知ることができます。

ぜひ、ご自分のチャートで移動平均線を表示してどのように見えるのかを確認してみてください。

移動平均線だけを使った売買手法

移動平均線を使って売買のサインを読み取る方法をご紹介してきました。

ここからはさらに深く踏み込んで移動平均線だけを使って売買を行う手法について解説していきます。

売買サインと売買手法で何が違うのかというと、売買サインは買いや売りの方向へ向かう可能性が出た段階で売買してOKのサインが出ます。

そのため、もちろん優位性はありますがサインだけで売買をしていては勝ったり負けたりを繰り返すことになります。

一方、売買手法とは売買サインがでるさらに前の段階から売買方向を分析し優位性がある方向をあらかじめ決定します。

そして売買サインがその方向と揃ったときに、揃った方向へのみ売買を行っていきます。

そのため、売買サインだけよりもOKサインがでる頻度は減りますが思惑の方向へ進む可能性は高く、自身のメインの手法として使っていけるものになります。

ここでは移動平均線だけを使った代表的な売買手法を2つご紹介します。

200移動平均線を使った押し目買いと戻り売り

200移動平均線は相場の流れを見ることができる移動平均線でした。

そのため、200移動平均線が傾いた方向への売買にはそれだけで優位性が存在します。

200期間の移動平均線の方向に沿って押し目買いや戻り売りをすれば思惑の方向に進みやすいことは容易に想像できます。

しかし期間が長いためどこで売買すればいいのかという悩みも付きまとってしまいます。

そこで200移動平均線をつかった押し目買いと戻り売りを行う際の条件は1つです。

200移動平均線が傾いた方向へ進んでいる価格が一時的に逆行し、200移動平均線にタッチしたら売買を行うです。

言葉ではいまいちわかりづらいのでチャートを用意しました。

GBPUSDの4時間足に200期間の移動平均線を表示しています。

200期間の移動平均線1

画面左端では平行気味だった移動平均線は価格の上昇に伴い右上がりになっています。

画面中央あたりで大きく下落してきた価格でしたが、200期間の移動平均線に当たると上昇方向へ戻っていきました。

その後同じような動きが4回繰り返されています。

もちろん途中で折り返している場面もありますが、その位置で折り返すという根拠がありません。

一方、多くの方に意識されているであろう200移動平均線に当たったということは、そこが押し目買いの候補とされる可能性が高いということになります。

売りの方向も見てみましょう。

同じくGBPUSDの4時間足に200期間の移動平均線を表示しています。

200期間の移動平均線2

先ほどよりも大きくジグザグと動いていますが、やはり200移動平均線に当たったところから下落方向へ進む動きを見せています。

こちらも200移動平均線にタッチした青丸の場面が戻り売りの候補として意識されていることが確認できます。

長期の移動平均線と価格が大きく離れた場合、価格は平均値に戻る習性がありますので一時的に大きく戻したり、長期の移動平均線が追いつくまで横ばいを続けることが多くあります。

そのため押しや戻しがどこまで戻るのか、いつまで横ばいなのかという候補として200移動平均線が意識されることになります。

しかしたったこれだけの根拠では心もとないのはわかります。

そこで、先ほどご紹介した売買サインを組み合わせて使ってみましょう。

上昇の押し目買いを解説したGBPUSD4時間チャートのAの位置を1時間足で見てみます。

200期間の移動平均線3

4時間足では綺麗な上昇トレンドでしたが1時間足では乱高下が激しく売買する場所がわかりづらくなっています。

しかし、大きな黄色丸の位置で4時間足の200移動平均線にタッチしているという優位性がありますので、短期の移動平均線が上向きになった中期の移動平均線を下から上抜いた時点で買いを入れることができます。

このように手法としての優位性に売買サインの優位性を組み合わせることで、思惑の方向へ進みやすい取引を行うことができるようになります。

3本の移動平均線を使ったトレンドフォロー

上記でご紹介したのは戻り売りや押し目買いでしたが、今度は3本の移動平均線を使ってトレンドの初動を狙っていきます。

移動平均線を調べていると必ず耳にする「パーフェクトオーダー」と呼ばれる王道の手法ですが、前提条件がありますのでまずはチャートを見てみましょう。

GBPUSDの1時間足に、短期20期間、中期75期間、長期200期間の移動平均線を3本表示しています。

パーフェクトオーダー1

前提条件は赤枠で囲った位置のように3本の期間の違う移動平均線が絡み合うように集まっていることです。

これを「移動平均線の収縮」と表現します。

この移動平均線の収縮が起こっていることが今回の手法では必要となります。

そして全ての期間の移動平均線が同じ方向に傾き、上昇の場合は上から短期➝中期➝長期と並んでいることをパーフェクトオーダーと呼び、それが起こったタイミングでエントリーを行います。

チャートに戻りましょう。

赤枠の中で絡み合った3本の移動平均線のうち、青線の短期移動平均線が価格の上昇に合わせて勢いよく上昇しました。

しかしまだ赤線の中期移動平均線が黄色の長期移動平均線よりも下にいますので、エントリータイミングではありません。

その後黄色丸の位置で赤線の中期移動平均線が黄色線の長期移動平均線を上抜け、パーフェクトオーダーが完成しました。

このタイミングで買いのエントリーを行います。

決済はパーフェクトオーダーが崩れるまで行いませんので、チャート上では白丸の位置まで保有し続けることになります。

続いて下落の場面を見てみましょう。

チャートはEURUSDの1時間足に同じく3本の移動平均線を表示しています。

パーフェクトオーダー2

全ての移動平均線が同じ方向に傾き、下落の場合は上から長期➝中期➝短期と並んでいることをパーフェクトオーダーと呼び、それが起こったタイミングでエントリーを行います。

赤枠の中のように3本が絡み合っている状態を確認出来たら準備完了です。

価格が下落を始めるとまずは青線の短期移動平均線が勢いよく下落し始めますが、まだこの位置では3本の並びが条件を満たしておらずエントリーを行うことはできません。

その後価格がさらに下落を続け、黄色丸の時点で赤線の中期移動平均線が黄色線の長期移動平均線を下抜け、パーフェクトオーダーが完成します。

ここで売りのエントリーを行います。

決済はパーフェクトオーダーが崩れるまで行いませんので、白丸まで保有し続けることになります。

ありきたりなパーフェクトオーダーの手法ですが前提条件の赤枠内の動きを入れることで、トレンドが発生する前の小康状態を移動平均線の収縮で察知し、トレンドが発生したことをパーフェクトオーダーの移動平均線の拡散で捉えるように組み込んでいます。

パーフェクトオーダーは色々な場所で簡単に起こってしまうものなので、この手法を使う際は必ず前提条件をクリアしていることを確認してください。

まとめ:組み合わせればさらに強固に

今回の記事では移動平均線の見方や使い方、手法などを移動平均線単体でご紹介しました。

単体で使用しても相場の流れや状況を把握したり、様々な情報を集めエントリーや決済までできてしまう優秀なインジケーターです。

しかし、あくまで過去の価格を参考に計算されたインジケーターであることは忘れないでください。

未来の価格を予測できるものではなく、過去の価格から傾向を読み取るための分析ツールであることを念頭に置いてお使いください。

また、移動平均線はトレンド系のテクニカル指標ですので、同じトレンド系のテクニカル指標であるボリンジャーバンドや一目均衡表、水平線やダウ理論などと組み合わせて使うことでさらに強固に信頼度高く使えるようになります。

移動平均線の全てをまとめた記事です。

この記事では移動平均線の見方や使い方について詳しく説明しましたが、移動平均線についてさらに詳しく知りたい場合は、移動平均線まとめ記事を参考にしてください。

監 修
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内田 まさみ ラジオNIKKEI
日経CNBCの番組パーソナリティ
経済雑誌多数連載中
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