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【成功への近道】バルサラの破産確率とは?計算式や確率表、最適なペイオフレシオも解説

2021年09月10日 公開 
2024年12月06日 更新
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「バルサラの破産確率ってそもそも何?」
「破産確率ってトレードに活用できるの?」
「FXにおける破産リスクをできるだけ抑えたい!」

上記のような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。

バルサラの破産確率は、FXをはじめとするトレードにおけるリスク管理に役立つ数字です。

具体的なポイントとしては、以下の3点が挙げられます。

  • ある条件のもとでトレードを続けた場合に、資金がゼロとなる確率が分かる
  • 損失許容率、勝率、ペイオフレシオの3つの要素から計算される
  • トレード方針を定める際の参考情報として使う

本記事では、このバルサラの破産確率について、計算の仕組みから実戦における活用方法まで、詳細に解説していきます。

FXでリスクを抑えながら資産を増やしていく上で重要な考え方なので、しっかり頭に入れておくようにしましょう。

 

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バルサラの破産確率の概要をわかりやすく

バルサラの破産確率とは、一定の条件のもとでトレードを続けた場合に資金を失うことになる確率を示すものです。

過去の自分のトレードが示す結果から破産確率を求めれば、自分がこのままトレードを続けた場合に、相場から退場する可能性がどの程度あるのかを知ることができます。

もし破産確率が高いのであれば、自分のトレード戦略が誤っているということであり、すぐにでも修正することが必要があると考えられます。

このようにバルサラの破産確率は、自分のトレードが破産へと向かっていないかを確認できる、トレーダーにとっての羅針盤のようなものと考えるといいでしょう。

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バルサラの破産確率表とは?

バルサラの破産確率を簡単に確認できるツールとして、以下の画像のようなバルサラの破産確率表がよく知られています。

バルサラの破産確率表のイメージ

見ての通り縦軸と横軸でマトリックス状になっている表で、その中に確率が記載されている形です。

この確率は、所定の条件でトレードを続けた場合の破産確率を示しています。

その条件とは、以下の3つです。

  • 損失許容率
  • 勝率
  • ペイオフレシオ

簡単に説明すると、損失許容率はトレードに負けたときの資金に対する損失額の割合、勝率はトレードで勝つ確率、ペイオフレシオは平均損失額に対する平均利益額の割合です。

詳細についてはまた後で解説しますので、まずは表をどう見ればいいか、どう活かせばいいのかを理解してください。

バルサラの破産確率表の見方

バルサラの破産確率表の読み方

上の画像で示しているのは「損失許容率=2%」の表であり、横軸が勝率縦軸がペイオフレシオです。

この表から読み取れるのは、例えば「損失許容率=2%、勝率=40%、ペイオフレシオ=1.6」(画像における赤丸)であれば破産確率は8.28%(画像における赤四角)となるということです。

一般的に、この破産確率は1%未満に押さえるのが良いとされています。

そのため、もし損失許容率と勝率を現状のままにするのであれば、ペイオフレシオを1.6から1.8に改善して破産確率を0.14%に抑えるようにトレードを改善すべきということが、この表で分かるわけです。

なお、ペイオフレシオは指値注文・逆指値注文を設定することである程度コントロールできます。(詳細は、後述の「トレードに活かすための考え方」をご覧ください。)

また、もし損失許容率とペイオフレシオを現状のままにするのであれば、勝率を40%から50%に改善して破産確率を0%に抑えるという形になりますね。

このようにバルサラの破産確率表からは、「ペイオフレシオを改善できるように早めに損切りしよう」「勝率を改善するためにテクニカル分析を工夫しよう」といった具合に、退場しないようなトレードをするためには何を改善していけばいいのかを読み取れるということです。

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バルサラの破産確率を構成する3つの要素

では、先ほど紹介したバルサラの破産確率表を構成する3つの要素(損失許容率、勝率、ペイオフレシオ)について、それぞれ詳細に説明していきます。

損失許容率

損失許容率の計算式

損失許容率 = 1トレードにおける損失額 ÷ 元手資金

損失許容率とは、1トレードにおいてリスクにさらす資金割合のことです。つまり、元手資金に対するトレードに負けた際の損失額の割合を示す値です。

例えば、100万円の資金でのトレードにおいて、損失額を2万円となるようなトレードをする場合は、損失許容率は2%ということになります。

ちなみに、米ドル/円のトレードで2万円の損失となるのは、1万通貨の取引であれば損切り値幅が200pips(2円)、2万通貨の取引であれば損切り値幅が100pips(1円)のケースです。

このような形で、損失許容率は取引通貨量と損切り値幅の2つの要素で決まります。

取引通貨量や損切り値幅を調整することで、トレーダーは損失許容率をコントロールできるということを頭に入れておきましょう。

勝率

勝率の計算式

勝率 = 勝ちトレード数 ÷ 全トレード数

勝率は、全てのトレードにおける勝ちトレードの割合です。

例えば、100回トレードして50勝50敗であれば勝率は50%、60勝40敗であれば勝率は60%ということになります。

トレーダーが採用する手法によって勝率は変わっていきます。

その時々の相場状況の影響も受けるため、コントロールするのが難しいところがあります。

ペイオフレシオ(リスクリワードレシオ・損益率)

ペイオフレシオの計算式

ペイオフレシオ = 平均利益 ÷ 平均損失

ペイオフレシオは、勝ちトレードにおける平均利益が負けトレードにおける平均損失の何倍かを示す値です。

「リスクリワードレシオ」「損益率」と呼ばれることもあります。

例えば、100回トレードをして40勝60敗だったときに、勝ちトレードにおける総利益額が80万円、負けトレードにおける総損失額が60万円という結果だったとしましょう。

この場合、勝ちトレードにおける平均利益は2万円、負けトレードにおける平均損失は1万円ということになり、ペイオフレシオは2ということになります。

例からも分かる通り、勝率が5割を切っていてもペイオフレシオが高ければ、全体としては利益をあげることが十分可能です。

ペイオフレシオについては、個々のトレードにおける利食いラインと損切りラインを意識して設定することで、トレーダーはある程度コントロールすることができます

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バルサラの破産確率を計算する方法

バルサラの破産確率表を構成する3つの要素を紹介したので、実際に破産確率を求める計算式についても参考として紹介しておきます。

破産確率の計算式

x = xペイオフレシオ+1 + ( 1 – 勝率 )
0 < x < 1
上記を満たすxをRとすると、破産確率は以下のようになる。

破産確率 = R1/損失許容率

見ての通り複雑な数式なので、これを理解する必要はありませんし、自分で計算できるようにならなくても大丈夫です。

自分の損失許容率、勝率、ペイオフレシオの実績から破産確率を算出したい場合には、以下の記事の冒頭に設置しているような破産確率の計算機を使用するといいでしょう。

なお、この計算機は入力項目を「値幅」と「額」で切り替えることが可能なので、あなたの状況に合わせて入力しやすい方を選択してくださいね。

バルサラの破産確率を学べるYouTube動画

バルサラの破産確率について動画で見たいなら、予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」の動画がオススメです。

このYouTubeチャンネルは、国内最大の不動産投資ポータルサイト「楽待」を運営する東証一部上場企業・株式会社ファーストロジックが運営しており、数学を実社会に応用する方法を多数紹介しています。

バルサラの破産確率表の計算式について詳しく説明してくれるので、破産確率表ができるまでの流れを知りたい方はご覧ください。

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バルサラの破産確率表の深掘り解説

バルサラの破産確率表の基本的なところを説明してきたので、ここからはより深い説明に入っていきます。

冒頭で紹介した破産確率表は、「損失許容率=2%」の場合における破産確率表でした。実は、損失許容率によって破産確率表における値は変わっていきます

では、さまざまな損失許容率の破産確率表を見ながら、それぞれの違いや特徴、望ましいトレード方針などを確認していきましょう。

損失許容率別バルサラの破産確率表

ここでは、損失許容率が20%/10%/5%/2%/1%/0.5%におけるバルサラの破産確率表を載せていきます。

一般的に望ましいとされている破産確率が1%以下の領域(薄いオレンジ色)の違いに注目しながら、確認してみてください。

また、併せてトレード損益の期待値がプラスになる領域(太線内)も示しています。

「期待値 ≦ 0」のトレードは破産確率は必ず100%となるので、この領域(太線外)は気にしなくていいでしょう。

期待値プラスの領域(太線内)の中で破産確率1%以下の領域(薄いオレンジ色)がどのように広がっていくかというのがことに注目して、それぞれの場合におけるバルサラの破産確率表を見比べていってください。

先に一つの結論をいっておくと、損失許容率が下がれば破産確率1%以下の領域は広がっていきますが、損失許容率2%の段階で太線内のほぼ全域が薄いオレンジ色となっています。

投資の世界では「損失は資金の2%以下に抑えるべき」という2%ルールが有名 ですが、これはバルサラの破産確率表から見てもバランスの良い数値といえそうです。

損失許容率20%

バルサラの破産確率表(損失許容率20%)

上の画像は、損失許容率20%の場合におけるバルサラの破産確率表です。

損失許容率20%というのは、資金が100万円であれば負けトレードで20万円の損失が出るというサイズ感です。

多くの人がかなりリスキーな運用という感覚を持つのではないでしょうか。

破産確率が1%以下の領域は、期待値がプラスの領域の半分ほどにとどまっています。

表を細かく見ていくと、ペイオフレシオが1のとき、破産確率が1%以下になるのは勝率80%以上の領域という形です。安全にトレードするにはかなり高い勝率が必要ということですね。

ペイオフレシオを1.2に改善すると、破産確率が1%以下となる領域は勝率70%以上と少し広がります。

ただ、その後、ペイオフレシオを3まで改善しても、破産確率が1%以下となるのは勝率70%以上の領域のままです。

このように、損失許容率20%のトレードは全体的にかなり高い勝率が要求されることが分かります。

また、ペイオフレシオを改善しても、その効果があまり見られないのもポイントです。

損失許容率10%

バルサラの破産確率表(損失許容率10%)

上の画像は、損失許容率10%の場合におけるバルサラの破産確率表です。

損失許容率10%というのは、資金が資金が100万円であれば負けトレードで10万円の損失が出るというサイズ感です。

損失許容率20%に比べればマシですが、負けたときのダメージはかなり大きくなるといえるでしょう。

とはいえ、損失許容率20%の表と比べてみると、明らかに破産確率が1%以下の領域が広がっているのが読み取れます。

ペイオフレシオが1の場合、破産確率が1%以下となっているのは勝率70%以上の領域です。

また、ペイオフレシオを2まで改善すると、破産確率が1%以下となる領域は勝率50%以上にまで広がります。

ペイオフレシオを改善することによる効果も、損失許容率20%の場合と比べて大きくなっているといえるでしょう。

損失許容率5%

バルサラの破産確率表(損失許容率5%)

上の画像は、損失許容率5%の場合におけるバルサラの破産確率表です。

損失許容率5%というのは、資金が100万円であれば負けトレードで5万円の損失が出るというサイズ感です。

まだ少しリスキーな感じはしますが、これまでよりは随分マシになってきました。

この表では、さらに破産確率1%以下の領域が広がってきています。

ペイオフレシオが1の場合における破産確率が1%以下となる領域は、勝率60%以上まで広がっています。

さらに、ペイオフレシオの改善による効果も大きくなっており、ペイオフレシオを2.2まで挙げると、破産確率が1%となる領域は勝率40%以上まで広がっています。

損失許容率2%

バルサラの破産確率表(損失許容率2%)

上の画像は、損失許容率2%の場合におけるバルサラの破産確率表です。

損失許容率2%というのは、資金が100万円であれば負けトレード2万円の損失が出るというサイズ感です。

投資の世界では「損失は資金の2%以下に抑えるべき」という2%ルールが有名ですが、ちょうどその上限に当たる損失許容率です。

表における破産確率1%以下の領域に注目すると、ペイオフレシオが1の場合こそ破産確率が1%以下となっているのは勝率60%以上の領域と変わりませんが、ペイオフレシオが上昇するにつれて広がっていくのが分かります。

例えば、ペイオフレシオが1.2のときで勝率50%以上の領域、ペイオフレシオが1.8のときで勝率40%以上の領域、ペイオフレシオが2.8のときで勝率30%以上の領域という形です。

ペイオフレシオが上昇とともに、安全にトレードするために必要な勝率が下がっていくことが読み取れます。

損失許容率1%

バルサラの破産確率表(損失許容率1%)

上の画像は、損失許容率1%の場合におけるバルサラの破産確率表です。

損失許容率1%というのは、資金が100万円であれば負けトレード1万円の損失が出るというサイズ感です。

破産確率1%以下の領域は、トレード損益の期待値がプラスとなる領域のほぼ全域まで広がっています

表における破産確率1%以下の領域に注目してみると、損失許容率2%の場合から少しですがさらに広がっています。

例えば、勝率40%以上まで広がるのがペイオフレシオが1.6から、勝率30%以上まで広がるのがペイオフレシオが2.6からという形です。

損失許容率0.5%

バルサラの破産確率表(損失許容率0.5%)

上の画像は、損失許容率0.5%の場合におけるバルサラの破産確率表です。

損失許容率0.5%というのは、資金が100万円であれば負けトレード5,000円の損失が出るというサイズ感です。

破産確率が1%以下となる領域にはほとんど変化がありませんが、トレード損益の期待値がプラスでも破産可能性があるわずかな領域において、破産確率が着実に小さくなっています。

損失許容率0.1%

バルサラの破産確率表(損失許容率0.1%)

上の画像は、損失許容率0.1%の場合におけるバルサラの破産確率表です。

ここまでくると、ほとんどトレード損益の期待値がプラスのときに破産確率が0%、期待値がマイナスのときに破産確率が100%という状態になっています。

そのため、期待値プラスさえ達成すればまず破産しませんが、損失許容率0.1%ということで取引量が小さくなり、狙える利益はかなり小さくなってしまうでしょう。

2%ルール

2%ルールとは、さまざまな書籍の中で紹介されている、投資の世界において非常に有名なトレードルールです。

2%ルールに触れている書籍には、例えば『投資苑』『ラリー・ウィリアムズの短期売買法』『マーケットの魔術師』などがあります。

優れたトレーダーが実践していたルールでもあることから、リスクを抑えながら高いリターンを目指す上でのバランスの良さがうかがえます。

確かに損失許容率2%におけるバルサラの破産確率表を見てみると、一定のリターンを狙えるサイズ感でありながらも、破産確率1%以下の領域が十分に広がっていることが感じられるのではないでしょうか。

損失許容率を下げると破産しにくくなる

損失許容率と利益および破産確率の関係

損失許容率ごとのバルサラの破産確率表を見て分かるのは、損失許容率が下がっていくと破産確率1%以下の領域が広がっていくことです。

つまり、損失許容率が低ければ破産せずにトレードできる勝率とペイオフレシオであっても、損失許容率が高くなると破産してしまうことがあるわけです。

そのため、自分の勝率とペイオフレシオを踏まえて、破産確率を低く抑えられるような損失許容率を見極めることが大切といえるでしょう。

とはいえ、損失許容率を低くすると、得られる利益も少なくなるというデメリットが出てきます。

つまり、損失許容率は低ければいいというものではなく、破産確率を低く抑えられる中においてはできるだけ高く設定しておいた方が良いわけです。

バルサラの破産確率表や破産確率の計算機を使って、自分にとってバランスの良い損失許容率がどのぐらいなのかを、ぜひ確認してみてください。

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バルサラの破産確率をトレードに活かすための考え方

バルサラの破産確率表について細かく見てきたので、この表を実際のトレードに活かしていく流れについても触れておきたいと思います。

ポイントは以下の3点です。

  • 損失許容率に合わせて取引数量を調整する
  • ペイオフレシオを意識して指値/逆指値を設定する
  • 必要な勝率を上回ることを意識する

では、それぞれ細かく説明していきます。

損失許容率に合わせて取引数量を調整する

自分に適した損失許容率が決まれば、1トレードにおける損失額も自動的に決まります。

負けトレードではこの損失額となるように、トレードを進めていくことが大切です。

損失額は、以下の計算式で決まります。

損失額の計算式

損失額 = 損切り値幅 × 取引数量

損切り値幅については、毎回一定値幅の逆行があれば損切りするようにしている人もいれば、その時々の相場状況に応じて損切り値幅を変える人もいるでしょう。

いずれにせよ、負けた場合の損切り値幅はエントリーする時点で決まっているはずです。

つまり、計算式における「損失額」と「損切り値幅」はあらかじめ分かっているわけなので、そのトレードにおける最適な「取引数量」も自動的に決まることになります。

取引数量を決める流れ

例えば、資金100万円からトレードをスタートした場合で、自身の手法の特性を踏まえて損失許容率を2%に決めたとしましょう。この場合、損失額は2万円となります。

このとき、米ドル/円のトレードで損切り値幅を50pips(0.5円)とした場合、自動的に取引数量は2万円÷0.5円=4万通貨と決まるわけです。

このように、バルサラの破産確率表における破産確率を実現するためには、損失許容率に基づく損失額となるようにトレードを進めていくことがポイントです。

そして、これは取引数量をコントロールすればいいだけなので、誰でも簡単に実践できるということも頭に入れておきましょう。

ペイオフレシオを意識して指値/逆指値を設定する

破産確率を低く抑えるためには、自分が設定したペイオフレシオを守ることが欠かせません。

そのため、このペイオフレシオを守るような形で、トレードにおける利食いライン(指値)と損切りライン(逆指値)を設定することが大切です。

ペイオフレシオからエントリーするかを判断

まずは、相場の状況から利食いラインと損切りラインの両方を設定できるケースを考えてみましょう。

この場合、上の画像のような形で目標のペイオフレシオを明確に下回ってしまうようであれば、そのトレードは見送った方がいいでしょう。

ペイオフレシオから利食いラインを設定する流れ

また、上の画像のように損切りラインまたは利食いラインの一方が決まるようなケースでは、目標のペイオフレシオから逆算することで、もう一方のラインを設定可能です。

そのため、例えばこの形で利食いラインを設定した場合、チャート分析に基づいてそこまで届きそうであれば、エントリーすることになります。

利食いラインと損切りラインもトレーダーが自由に設定できるので、ペイオフレシオをコントロールすることは十分可能です。

個々のトレードにおいてペイオフレシオをしっかり意識しながら、目標の数値を上回れるようにトレードを進めましょう。

これをどれだけ徹底できるかが、バルサラの破産確率表に基づいて設定した破産確率を実現できるかどうかの鍵となるわけです。

必要な勝率を上回ることを意識する

破産確率を抑えるためには、自分が設定した勝率を上回ることも必要です。

トレードでは目標のペイオフレシオを上回るように利食いラインと損切りラインすることを説明しましたが、その際にどの程度の勝率が期待できるかを併せて意識するようにしましょう。

ペイオフレシオと勝率の関係

上の画像はペイオフレシオと勝率の関係を示していますが、ペイオフレシオと勝率には逆相関があります。

つまり、ペイオフレシオの条件を満たすために、無理に利食いラインを離したり損切りラインを近づけたりすると、勝率は下がってしまうわけです。

ペイオフレシオのコントロールは大切ですが、その際には勝率のことも考慮に入れなければなりません。

相場状況によっては、無理をせずにトレードを見送る判断も必要となるでしょう。

他の損失許容率やペイオフレシオと違い、勝率はトレーダーの意思通りにコントロールするのが難しいところがあります。

エントリー時点で、このトレードの勝率は何%だと正確に言い切ることが難しいからです。

ただし、バックテストを重点的に行っていけば、トレードの条件ごとにある程度の精度で勝率は見えてくると思います。

勝率を見極めるという意味でも、バックテストを通じてトレードの検証をしっかり行うことは非常に大切といえるでしょう。

バルサラの破産確率の注意点、懸念点

バルサラの破産確率は、自分のトレード方針を固めていく上で非常に有用な概念です。

しかし、「バルサラの破産確率表を使って破産確率を抑えるように意識すれば、絶対に破産することはない」とは、残念ながら言い切ることはできません。

ここでは、バルサラの破産確率の限界とそれに対応する考え方について説明していきます。

過去の勝率が将来も続くとは限らない

勝率低下による破産確率への影響

バルサラの破産確率は、上の画像で示しているように損失許容率とペイオフレシオ、勝率が決まっていることを前提に計算されています。

このうち勝率に関しては、トレーダーが完全にコントロールしきれないという特徴があります。

基本的にトレーダーは、バックテストやトレード実績を通じて、自分が使用する手法の勝率を把握することになるはずです。

これは過去の相場に基づく勝率ですが、その勝率が将来も維持されるには、過去の総傾向が将来においてずっと続くことが必要となります。

しかし、相場には変化がつきものであり、過去の傾向が将来の相場においてもずっと続くという保証はどこにもありません。

そのため、相場が変化してしまえば、想定した勝率が実現されないことがあるわけです。

もし想定していたよりも低い勝率となってしまった場合には、破産確率も想定よりも高くなってしまうことになるでしょう。

損失許容率=2%、ペイオフレシオ=2のときに勝率が40%から30%に低下したときの破産確率の変化

上の画像は、損失許容率2%の場合におけるバルサラの破産確率表です。

例えば損失許容率が2%、ペイオフレシオが2の場合、勝率が40%から30%に低下すると、破産確率は0.01%から100%にまで一気に跳ね上がります。

このように、状況によっては破産確率が急上昇することもある点は、あらかじめ頭に入れておきたいところです。

最大の敵は自分自身?

相場の傾向が変わるリスクを紹介しましたが、相場の傾向が変わっていないのに破産確率が高くなってしまうこともあります。

それは、自分が設定したトレードルールをそもそも守れなかった場合です。

そうなると、想定した損失許容率やペイオフレシオ、勝率から外れていってしまい、もともと想定していた破産確率は当てにできなくなるでしょう。

当然のことのように感じるかも知れませんが、これが原因で数多くのトレーダーが退場することになっていると考えられます。

なぜなら、人間の性質上、投資においては何が得で何が損かという判断を冷静にできなくなりやすく、不利な選択をしやすいところがあるからです。

これは「認知バイアス」という心理現象で、ある意味では破産を招く最大の敵といえるかもしれません。

なお、このテーマついては、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある人は、ぜひチェックしていただければと思います。

将来の勝率低下に備えよう

破産を避けるためには、破産確率表における3つの要素である損失許容率とペイオフレシオ、勝率を維持することが大切です。

もし何らかの理由でこの3つの要素のいずれかが崩れてきた場合には、トレードを見直す必要が出てきます。

ここで大切なのが、3つの要素のいずれかが崩れてきたことを、適時に把握することです。

そのための有効な方法としては、自分のトレード実績をきちんと記録をした上で、それを定期的に見直すことが挙げられます。

ただトレードをしているだけでは、相場の変化や自分自身の変化による影響に気付くことはなかなかできません。

自分のトレードを振り返る習慣を身に付けて、変化を素早く把握して対応できる環境を整えることが、破産確率を低く抑え続けるための重要なポイントとなるでしょう。

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豆知識

バルサラの破産確率表を見て、トレード損益の期待値がプラスのときにも破産確率があることについて、不思議に感じる人がいるかもしれません。

この傾向は損益許容率が大きいとより顕著になり、結果として損失許容率が大きいと破産確率1%以下の領域が狭くなります。

これは、損失許容率が大きいほどちょっとした連敗で大きく資金が減ってしまうことが原因です。

期待値がプラスでも破産する原因

上の画像で示しているように、トレードを進めると資金は期待値(緑ライン)を中心に推移していきますが、損失許容率が大きいと上下動が激しくなりやすく、一気に資金がゼロまで減りやすくなるわけです。

例えば、ペイオフレシオが1で勝率が60%の場合、トレード損益の期待値は「1 × 60% + ( -1 ) × 40% = 0.2」ということでプラスになります。

しかし、例えば損失許容率が20%であれば、スタートからいきなり5連敗すれば資金はゼロとなります。

また、スタートで1勝してもそこから6連敗が発生すれば、同様に資金はゼロになります。

このように、期待値がいくらプラスであっても破産する可能性は十分にあるわけです。

ちなみにバルサラの破産確率表で確認してみると、このケースにおける破産確率は13.17%となっていますね。

こんな形で、実際のトレードをイメージしながら考えてみると、破産確率のイメージがわきやすくなるのではないでしょうか。

原著における破産確率表

バルサラの破産確率表は、1992年にナウザー・バルサラが出版した『Money Management Strategies for Futures Traders』の中で紹介されたものが基になっています。

本書の中におけるバルサラの破産確率表は、以下のような形をしていました。

原著における破産確率表

■引用:ナウザー・バルサラ『Money Management Strategies for Futures Traders』p.18を基に作成

上の画像で示した破産確率表は、資金が1ドルの状態から、損失額1ドル(損失許容率=100%)となるようなトレードを続けた場合の破産確率を示しています。

また、縦軸は勝率で、横軸はペイオフレシオです。ペイオフレシオは1~10の整数となっており、値がかなり大きいですね。

原著ではこの他にも、資金2ドル、資金3ドル、資金4ドル、資金5ドル、資金10ドルで同様のトレードを行った場合の、破産確率表を掲載しています。

ちなみに、それぞれ順番に損失許容率は50%、33.33%、25%、20%、10%となる形です。

現在よく見られる破産確率表は体裁が大きく異なっていますが、例えばペイオフレシオを細かく表示するなど、この原著を基にして使いやすく加工されているわけです。

まとめ:自分のトレードの破産確率を定期的にチェックしよう

今回は、バルサラの破産確率に関する基礎知識から実戦トレードでの活用方法まで、詳細に解説してきました。
破産確率は、ご自身のトレードのリスク状況を数値化して示してくれる便利な指標です。

FXで長期的に資産を増やしていくためには、リスク管理は欠かせません。
破産確率をチェックすることによって、定期的にご自身のトレードの微調整を行うことをおすすめします。

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内田 まさみ ラジオNIKKEI
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