ローソク足分析|単線、二本足、酒田五法|それぞれの見方と分析方法解説
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要するに、ローソク足分析とは
- 日本の江戸時代に考案された古典的なチャート分析方法
- ローソク足の形状や組み合わせから、今後の相場展開を予測する
- 相場における常識とも言える位置付けで、代表的なものは必ず押さえておきたい
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目次
ローソク足分析の概要
ローソク足チャートはもともと日本の江戸時代に考案されたチャートで、その使いやすさから現在では海外でも広く使われるようになりました。
ローソク足分析は、このローソク足の形状や組み合わせから今後の相場展開を予測するチャート分析方法です。
ローソク足分析は、分析に使用するローソク足の本数により、以下のように分類できます。
- 単線分析
- 二本足分析
- 酒田五法(複数足分析)
いずれも非常にポピュラーな分析手法であり、市場参加者のほとんどが頭に入れた上でチャートを見ていると考えられます。
ローソク足分析はチャートを見る上での常識に近い位置付けなので、それだけで勝てるわけではありませんが、必ず頭に入れておくべきものと言えるでしょう。
なお、本記事ではローソク足の基本的な見方は理解していることを前提に、解説を進めていきます。ローソク足の基本について確認しておきたい場合は、以下の記事をご覧ください。
ちなみに、ローソク足分析に近い意味として、チャートの全体的な形状に焦点を当てて分析を行う「チャートパターン分析」というものがあります。
例えば、欧米を中心に発達してきたフォーメーション分析が、これに該当します。
このフォーメーション分析は相場の大きな流れに着目して分析しており、ローソク足分析と違い個々のローソク足の形状に着目するわけではありません。
しかし、両者からは共通の内容を読み取れることも多くあります。異なる場所で生まれ育ったチャート分析方法が同じ結論にたどり着くことからは、相場には世界共通の何かがあるということが感じられます。
トレードする上でローソク足分析と同様、フォーメーション記事も非常に重要です。詳しい内容を知りたい場合は、以下の記事からご確認いただければと思います。
単線分析
単線分析では、1本のローソク足の形状から相場を分析します。
シンプルな分析方法ではありますが、同じ形状でも発生する相場状況によって解釈が変わることもある点に注意が必要です。
ここでは、「陽線」「陰線」「寄引同時線」に分類して、それぞれ紹介していきます。
陽線
陽線とは、「始値<終値」となっているローソク足のことです。
大陽線
上の画像のように、ローソク足の実体が非常に長い陽線のことを「大陽線」と呼びます。
いずれの形も始値から終値が大きく上昇していることを示しており、相場の上昇の勢いが強いことが読み取れ、基本的に今後の展開としては上方向を中心に見ることになります。
なお、上下にヒゲがない大陽線は「陽の丸坊主」と呼ばれ、上昇の勢いが特に強いことが分かります。
小陽線
上の画像左側のように、ローソク足の実体が長くなくヒゲも実体よりも短い陽線を「小陽線」と呼びます。
また、上の画像右側のように、実体が特に短いものについては特に「コマ」と呼びます。
小陽線やや強気な保ち合い相場に見られることが多いですが、相場の方向感が明確ではなく、どちらに動くか迷っている状況がうかがえます。
単独で今後どのように相場が動くかの予測はできませんが、保ち合い相場が長く続いた後に大きく動き出すことがある点は、意識しておくといいでしょう。
下影陽線
上の画像左側のように、ローソク足の実体が短く下ヒゲが非常に長い陽線を「下影陽線」と呼びます。
また、上の画像右側のように上ヒゲがない場合には、その形状から特に「カラカサ(唐傘)」と呼びます。
下ヒゲが長いということは、大きく下落したところからそれ以上に反転上昇していることを示しており、基本的には上昇の強さを読み取ることになります。
特に下影陽線が底値圏で発生した場合には、反転上昇の可能性が意識されます。(このケースは「たくり線」と呼ばれます。)
ただし、天井圏で下影陽線が発生した場合には、大きく下落があったことから上昇に対する反発の力も強いことも読み取れるため、反転下落の可能性を意識することになります。(このケースは「首吊り線」と呼ばれます。)
上影陽線
上の画像左側のように、ローソク足の実体が短く上ヒゲが非常に長い陽線を「上影陽線」と呼びます。
また、上の画像右側のように下ヒゲがない場合には、その形状から特に「トンカチ」と呼びます。
上ヒゲが長いということは、大きく上昇したところから大幅に反転下落していることを示しており、基本的には上昇の勢いが弱まっていることを読み取ることになります。
特に上影陽線が天井圏で発生した場合には、反転下落の可能性が意識されます。
ただし、上影陽線が底値圏で発生した場合には、大きな上昇があったことから下落に対する反発の力も強いことも読み取れるため、反転上昇の可能性を意識することになります。
陰線
陰線とは、「始値>終値」となっているローソク足のことです。
陰線が持つ意味合いについては、基本的に陽線の上下を反対にして考えるといいでしょう。
大陰線
上の画像のように、ローソク足の実体が非常に長い陰線のことを「大陰線」と呼びます。
小陰線
上の画像左側のように、ローソク足の実体が長くなくヒゲも実体よりも短い陰線を「小陰線」と呼びます。
また、上の画像右側のように実体が特に短いものについては、特に「コマ」と呼びます。
下影陰線
上の画像左側のように、ローソク足の実体が短く下ヒゲが非常に長い陰線を「下影陰線」と呼びます。
また、上の画像右側のように上ヒゲがない場合には、その形状から特に「カラカサ(唐傘)」と呼びます。
上影陰線
上の画像左側のように、ローソク足の実体が短く上ヒゲが非常に長い陰線を「上影陰線」と呼びます。
また、上の画像右側のように下ヒゲがない場合は、その形状から特に「トンカチ」と呼びます。
寄引同事線
寄引同時線とは、「始値=終値」となっているローソク足のことです。
売りと買いの勢いが均衡していることを示しており、さまざまな形状がありますが相場の流れが転換する際に発生しやすい傾向があります。
上ヒゲと下ヒゲが同程度の長さで、上の画像左側のように長いものを「寄せ線」、上の画像右側のように短いものを「十字線」と呼びます。
寄せ線は相場の転換点となることが多いとされており、十字線は相場が迷っている状態で、天井圏や底値圏で発生した場合には相場の転換を示唆するとされています。
上の画像左側のように、上ヒゲが長い寄引同事線は「上十字」と呼びます。
また、中でも上の画像右側のように下ヒゲがないものは、その形状から特に「トウバ(塔婆)」と呼びます。
上昇の勢いの弱まっており、下落の勢いが優勢になっていることを読み取れ、天井圏や底値圏で発生すると相場の転換を意識することになります。
上の画像左側のように、下ヒゲが長い寄引同事線は「下十字」と呼びます。
また、中でも上の画像右側のように上ヒゲがないものは、その形状から特に「トンボ」と呼ばれます。
下落の勢いが弱まっており、上昇の勢いが優勢になっていることを読み取れ、天井圏や底値圏で発生すると相場の転換を意識することになります。
上の画像のように、上ヒゲも下ヒゲもない寄引同時線は「四値同時」や「一本線」と呼びます。
これは、まったく値動きのない特殊な状態を示しています。
極端な薄商いな状況や、株式取引などのように値幅制限がある場合のストップ高・ストップ安に張り付くケースなどで見られることがあります。
二本足分析
二本足分析では、2本のローソク足の形状の組み合わせから相場の分析を行います。
1本のローソク足の形状に加え、前後の組み合わせを見ることによって、より効果的に相場の展開を予測することが可能となります。
では、今後の展開を強く示唆する組み合わせについて、一つずつ見ていきましょう。
かぶせ線、切り込み線
上の画像左側のように、かぶせ線は1本目が大陽線となり、その勢いのまま2本目が上に窓を開けて始まったものの上に伸びずに反転下落し、終値が1本目の実体の中央よりも下に位置している形です。
1本目の大陽線が上昇を示唆しているものの、それがダマシに終わっており、下落の勢いが強まっていることが読み取れます。
かぶせ線が高値圏で発生した場合には、相場が下落へ転じる可能性を意識することになります。
なお、上の画像右側のように切り込み線はかぶせ線の上下が反対のパターンで、安値圏で発生した場合には相場が上昇へ転じる可能性が意識されます。
差し込み線、入り首線、あて首線
上の画像は、左から順に差し込み線、入り首線、あて首線と呼ばれるローソク足の組み合わせを示しています。
いずれも切り込み線に似た形で、大陰線から下に窓を開けて始まったものの陽線になるパターンです。
異なるのは、2本目の終値が1本目の実体の中央に届いていない点で、2本目の終値の位置により呼び名が変わります。
画像左側のように、差し込み線は2本目の終値が1本目の終値を上に抜けたものの1本目の実体の中央には届いていない形です。
画像真ん中のように入り首線は2本目の終値が1本目の安値を少しだけ超えている形で、画像左側のようにあて首線は2本目の終値が1本目の安値以下となっている形です。
名前は異なりますが解釈はほとんど同じで、いずれも上に戻す力が弱いため続落の可能性が高く、戻り売りを狙うポイントとされています。
たすき線
上の画像左側のように、陽のたすき線は1本目が陰線で2本目が陽線となるパターンで、2本目の始値が1本目の実体の中にあり、2本目の終値が1本目の高値よりも上に位置している形です。
2本のローソク足が同じような形状をしていることが条件で、その値幅の大小は問いません。
陽のたすき線では、1本目で下落したところから、2本目でそれを上回る上昇が起こったという値動きを示しています。
そのため、安値圏と考えられる場面でこの形が発生した場合には、下落から上昇へ転じる可能性が高くなると解釈できます。
一方で、この形で陰線が続く下落トレンドの中で発生した場合であれば、2本目の陽線は一時的な調整と捉えられ、戻り売りのポイントとなると解釈されます。
なお、上の画像右側のように陰のたすき線はこの反対バージョンで、1本目が陽線で2本目が陰線という形です。解釈の仕方は上下が逆にはなりますが、基本的に同じです。
包み線
上の画像のように、包み線は1本前のローソク足を包んだ状態となる大陽線や大陰線のことを指します。
上の画像左側のように包むローソク足が大陽線であれば陽の包み線、上の画像右側のように包むローソク足が大陰線であれば陰の包み線と呼びます。
なお、上下のヒゲが多少包みこめていなくても包み線とみなすこともあります。また、陰線から陽線、陽線から陰線の組み合わせが基本で、陽線同士、陰線同士の組み合わせは機能しないことが多いとされています。
陽の包み線であれば、下落したところからそれを上回る上昇が起こるという値動きを示しており、強い上昇の勢いが読み取れます。
そのため、安値圏で陽の包み線が発生した場合は、下落から上昇への転換を強く示唆します。
逆に、高値圏で陰の包み線が発生した場合には、上昇から下落への転換を予測することになります。
はらみ線
上の画像のように、はらみ線は包み線と前後が逆で、1本前のローソク足に包み込まれる形です。その形状が子供を宿した母親に見えることから、この名前が付いています。
通常、1本前の実体の中央あたりに値幅の短めの陽線または陰線が出ている状態を指しますが、1本前の実体が大きければヒゲが多少はみ出ていてもはらみ線とみなしていいでしょう。
なお、陽線同士、陰線同士の組み合わせでも問題ないですが、画像左側のように大陰線に小陽線が包み込まれる「陽のはらみ線」、または画像真ん中のように大陽線に小陽線が包み込まれる「陰のはらみ線」の方が一般的です。
はらみ線からは、強い上昇や下落の動きが続かず、相場の勢いが弱まっていることが読み取れます。
そのため、高値圏で陰のはらみ線が発生した場合や安値圏で陽のはらみ線が発生した場合には、トレンドが転換する可能性が高いとされています。
画像右側のように包み込まれる2本目のローソク足が寄せ線になる場合もありますが、これは特に「はらみ寄せ線」と呼ばれ、通常よりも強くトレンド転換が示唆されます。
毛抜き天井、毛抜き底
上の画像左側のように、毛抜き天井とは1本目と2本目のローソク足の高値が同じ水準でそろった形を指します。
また、上の画像右側のように毛抜き底はこの逆で、1本目と2本目のローソク足の安値が同じ水準でそろっている形です。
これは同じ水準で2回跳ね返される値動きを意味しており、ブレイクが難しい水準があることがうかがえます。
そのため、毛抜き天井が高値圏で発生した場合には上昇から下落への転換、毛抜き底が安値圏で発生した場合には下落から上昇への転換を意識することになります。
星
上の画像左側のように星とは大陽線の後に上方向に窓を開けて発生した、または、大陰線の後に下方向に窓を開けて発生したコマ(実体の小さい小陽線もしくは小陰線)のことを指します。
この形からは、強い上昇や下落が起こった後に、その上昇や下落が続かず、買いと売りの勢いが拮抗した状態になったことが読み取れます。
そのため、上昇相場または下落相場の終了が近づいている可能性を意識することになります。
なお、上の画像右側のように、星が寄引同時線になっている場合は特に「十字星」と呼び、相場転換の可能性が高まるとされています。
並び赤、並び黒
並び赤は2本の実体が同程度の小陽線が重なっている形を指し、並び黒は2本の実体が同程度の小陰線が重なっている形を指します。
並び赤は、1本目で小さく上昇する中、2本目で安く始まったもののしっかり上昇するという底堅い動きを示しています。
しかし、実際にはこの形が出るだけでは、強い方向性を示すことはないとされています。
並び赤が意味を持つのは、上の画像左側のように上昇トレンドの中において上方向に窓を開けて発生する「上放れの並び赤」と呼ばれるケースで、このときは上昇の継続が示唆されます。
一方、上の画像右側のように下落トレンドの中において下方向に窓を開けて並び赤が発生する「下放れの並び赤」と呼ばれるケースでは、陽線に逆らって売りを入れるポイントとされています。
なお、並び黒は並び赤と上下が逆になりますが、同じような考え方で見るといいでしょう。
出合い線
上の画像のように、出合い線は1本目と2本目のローソク足が同程度の実体の長さでお互いに向き合う値動きをしており、左側で示した陰線から陽線となるパターンと、右側で示した陽線から陰線となるパターンがあります。
1本目が陽線であれば、上方向に窓を開けて2本目が寄り付いたものの、結局伸びずに2本目は陰線となり、1本目の終値と同水準で引けたという形です。1本目が陰線であれば、この逆です。
出合い線は大きく上昇または下落したものの、中間地点まで跳ね返されたという値動きを示しており、基本的には相場の方向転換を意識することになります。
ただし、跳ね返されたのは中間地点までであり、2本目が単なる調整で終わる可能性も残ります。相場の判断は、その後の動きも見ながら慎重に行う方がいいかもしれません。
行き違い線
上の画像のように、行き違い線は1本目と2本目のローソク足が同程度の実体の長さで反対方向に離れていく値動きをしており、左側で示した陽線から陰線となるパターンと、右側で示した陰線から陽線となるパターンがあります。
1本目の始値と同じ水準で2本目が寄り付き、1本目が陽線であれば、2本目は下落していく形になります。逆に1本目が陰線であれば、2本目は上昇していきます。
行き違い線は、1本目の動きが完全に否定されて逆方向に大きく動いていることを示しており、高値圏や安値圏で発生した場合には相場が方向転換する可能性が出てきます。
ただし、上昇相場の中で陰線から陽線となるパターンが発生した場合は、一時的な振り落としによる下落だったと見られるため、上昇が継続する可能性が高まります。
逆に、下落相場の中で陽線から陰線となるパターンが発生した場合は、下落が継続する可能性が高まります。
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酒田五法
酒田五法とは、3本以上のローソク足を使って分析をする際の基本となる考え方です。
酒田五法は、「三兵」「三空」「三川」「三山」という4つのパターン分析、「三法」というトレードの心構えという、5つの理論から構成されています。
この基本となる5つの理論について、ここでは解説していきます。
三兵
三兵は、3本のローソク足の形状と組み合わせに注目して相場を分析する考え方です。
上の画像左側のように、赤三兵は安値を切り上げながら陽線が3本連続で発生している形のことです。
この逆に、上の画像右側のように高値を切り下げながら陰線が3本連続で発生する形を、黒三兵(三羽烏)と言います。
また、ローソク足の実体が重なり合っており窓を開けない形が基本形となります。その際、あまり深く重ならず、浅く重なっているとより理想的です。
「何も理由がなければ、陽線や陰線が2本続くことはあっても3本も続くことはない」という前提のもと、「3本続いたということは何か理由がある」と考え、赤三兵は上昇の力が強まっていることを、黒三兵は下落の力が強まっていることを示唆していると解釈します。
このため、安値圏で赤三兵が発生した場合には上昇相場が始まっている、高値圏で黒三兵が発生した場合には下落相場が始まっている証拠だと捉えることになります。
ただし、上昇相場が続いた高値圏で赤三兵が発生したり、下落相場が続いた安値圏で黒三兵が発生したりしている場合には、相場が行き過ぎている可能性もあるので注意しましょう。
三兵の変形型についても紹介していきます。なお、それぞれの形を覚えるというよりは、なぜそう解釈するのかを単線分析を踏まえながら理解するといいかもしれません。
上の画像一番左側の赤三兵先詰まりは、3本目が長い上ヒゲのある陽線となっているパターンです。
上昇したものの押し返されているということで、上昇の勢いが弱まっていることを示唆しており、赤三兵の信頼性が落ちることになります。
上の画像左から2つ目の赤三兵思案星は、3本目が上方向に窓を開けて寄り付いたもののあまり上昇せず、小陽線のコマとなるパターンです。
相場に明確な方向感がなくなってきているということで、こちらも赤三兵の信頼性が落ちる要素です。
上の画像左から3つ目の坊主三羽は、黒三兵の陰線が全て下ヒゲがない状態のもののことです。
安値引けが続いているということで、下げの勢いが非常に強いと言えるため、黒三兵の信頼性が上がります。
上の画像一番右側の同時三羽は、「終値=始値」が続いている黒三兵のパターンです。
上にあまり戻さずに確実に下落し続けていることから下げの勢いが非常に強いと捉えられ、こちらも黒三兵の信頼性が上がる形です。
三空
三空は、複数のローソク足の間に生まれる窓に注目して相場を分析する考え方です。
上の画像左側のように、三空とは上方向に窓が3回連続空くことです。例えば、強い材料が出て相場に上方向に突発的な勢いが発生したときなどに、こういった形になることがあります。
基本的に大きく窓を開けて上昇するような相場では、上昇相場の始まりとなるケースもあり、買い目線で相場を見るのが基本です。
しかし、3回連続で窓が開いたような局面では相場は相当上昇しており、過熱感がかなり高まっていることが考えられます。
そのため、三空が出た場合には反転急落を警戒して、利益を確定するべきタイミングとされています。
注意したいのは、下落を予測して積極的に売りで攻めるべきとしているわけではない点です。
相場が熱狂の中、どこまで伸びるかは分かりません。あくまで反転下落を警戒するというスタンスであり、今後の行方を慎重に見守ることが大切です。
なお、上の画像右側のように下方向に窓を開けて下落する局面は「三空叩き込み」で、こちらも上下は逆ですが同様の考え方をします。
三川
三川は、3本のローソク足の形状と組み合わせに注目して相場を分析する考え方です。
なお、三川については、次項で解説する三山の上下が反対のパターンと解釈する説もありますが、これについては次項の三山でご確認ください。
上の画像左側のように、明けの明星は1本目が長めの陰線、2本目が下方向に窓を開けてコマや十字線、3本目が上方向に窓を開けて長めの陽線となり、1本目の始値と同水準まで戻した形を指します。
大きく下げたところから、2本目のところで下げ止まり、3本目で大きく戻すという流れで、下落相場の終わり、上昇相場の始まりを示唆します。
上の画像右側のように宵の明星はこの上下が逆のパターンで、上昇相場の終わり、下落相場の始まりを示唆することになります。
なお、2本目のコマに関しては、陽線でも陰線のどちらでも問題ありませんが、実体が短い方が信頼性は高まります。
その上で、明けの明星であれば上ヒゲが長い上十字のような形状、宵の明星であれば下ヒゲが長い下十字のような形状であれば、さらに強く相場の転換を示唆するとされています。
三山
三山は、一定期間におけるローソク足が作り出す形状から相場を分析する方法です。
具体的には上の画像のように高値圏において3つの山を形成すると、上昇相場から下落相場へと転換すると考えます。
上の画像で示しているのは三山の中で最も代表的な「三尊天井」と呼ばれる形で、3つの山のうち真ん中の山が高いのが特徴です。
2つ目の山までは高値を更新していたものの、3つ目の山で高値更新に失敗するという流れで、上昇の勢いが弱まっていることがうかがえます。
この形状が出たところが天井となり、相場は下落へと転じていくと予測することになります。
なお、上の画像のような三尊天井の上下が反対のパターンは「逆三尊底」と呼ばれ、下落相場から上昇相場への転換を予測します。(このパターンは、三川として解釈されることもあります。)
これらのパターンのチャートについては、欧米型のフォーメーション分析においても同様の形が見られます。興味がある人は、以下の記事もチェックしてみてください。
三法
三法が説いているのは、これまでのパターン分析とは毛色が異なり、相場に対する心構えについてです。
ポイントは、相場においてで取る行動には「売り」と「買い」がありますが、これ以外にも「休む」もあり、この3つから適切な行動を選択すべきだということです。
相場には予測しづらい局面もあります。そういったときに無理に取引をするのではなく、ポジションを手仕舞いして休むようにすることも大切というわけです。
なお、こうした考え方に関連するローソク足の組み合わせとして、上の画像のような「上げ三法」「下げ三法」と言われるものがあります。
上げ三法は、上昇相場において長い陽線が出た後に、その中に収まる形で小さめの陰線が3本続いて調整の下落し、再び大陽線が発生すれば上昇が続くという流れを指します。下げ三法は、この上下が逆のパターンです。
ちなみに、安値圏で陰線が3本続けば黒三兵になる形ですが、発生する局面が上昇相場の途中というのがポイントです。
三法の考え方に基づけば、この調整のタイミングでは取引をいったん休み、取引を再開するのは再び相場が動き出すサインである大陽線(または大陰線)が発生してからにすべきと言えるでしょう。
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ローソク足分析について本で勉強したいなら、『ローソク足チャートで勝てる買い方・売り方』を読んでみましょう。
これは数々の著書や投資情報サービスを手掛けてきた伊藤智洋氏による、ローソク足分析の入門書です。
「ローソク足から何が分かるのか」だけではなく、「それをどのようにトレードに活かすのか」という実践的な技術についても解説されています。
ローソク足の形を見ているのに勝てないトレーダーは、「見ているつもり」になっているだけで、ローソク足の真の意味をまだ理解できていないのかもしれません。
この本でローソク足分析を徹底的に学べば相場の状況も深く理解でき、利益を出せる可能性も高まるはずです。
実際のチャートで分析をシミュレーション
単線分析から複数足の分析まで、様々なローソク足分析のパターンを見てきました。
ここで、実際のチャートを使ってローソク足分析を行いながら相場を見ていきましょう。
上の画像は、富士通ゼネラル(6755)の日足チャートです。
チャートの大きな流れを見てみると、「A」から「B」にかけて下落していますが、その過程で大陰線が発生しています。
大陰線からは下落の勢いの強さが読み取れますが、その後は長めの下ヒゲのあるローソク足(下影陽線)が何本か発生します。
ここでは大陰線から下落の勢いと、その後の下ヒゲの長さから下値の堅さが感じられ、相反する形から少し迷う要素のある局面かもしれません。(酒田五法の三法に従えば、休んでもいい局面かもしれません。)
結果としては、しばらく時間が経過しても大陰線の中央にも届くことなく、あまり上に戻せないまま時間が過ぎ、下落が再開するという形になりました。
その後、「B」「C」「D」のところで3つの谷を形成します。やや平坦ですが、逆三尊底に近い形状を形成しそうになっています。
3つ目の谷の「D」は「C」より切り上がったところで反転しており、そこから赤三兵が発生しています。
赤三兵という反転上昇の示唆通りに上昇が続き逆三尊底の形が完成となり、その後の大きな上昇相場へとつながっていきました。
ローソク足分析の注意点、懸念点
ローソク足分析はトレードをしていく上で重要なチャート分析方法ですが、これだけで全てを判断できるかというと難しいところがあります。
同じローソク足の形状や組み合わせであっても、それがどんな相場状況で発生するかによって解釈が変わることも多々ありました。
この場合、「どんな相場状況なのか?」という観点を、他の分析方法を用いて補強してあげることが有効です。
例えば上影陽線であれば、それが高値圏で発生すれば反転下落を示唆し、安値圏で発生すれば反転上昇を示唆するという形で、今後の相場の方向性の見方が大きく変わってきます。
この場合、オシレーター系インジケーターを使って相場の過熱感を分析することで、そこが高値圏なのか安値圏なのかが分かるかもしれません。
このような形で、ローソク足分析だけで勝負しようとするのではなく、さまざまな角度から分析を行い総合的に判断を行うことが大切と言えるでしょう。
ローソク足分析の成り立ち
考案者
本間宗久
歴史
ローソク足は、江戸時代に「出羽の小天狗」と言われた本間宗久が考案されたと言われています。
1724年に庄内地方酒田の豪商の家で生まれた本間宗久は、一度は江戸に出て米相場の投機に失敗したものの、再度、大坂の米相場に挑戦し莫大な利益をあげました。
その際にローソク足が考案され、莫大な利益をあげる基礎となった相場理論が酒田五法として後世に伝えられたというわけです。
なお、この通説に対しては疑問が残る部分もあり、ローソク足分析に関する理論は明治以降にまとめられたという説もあります。
誰が考案したのか真実は分かりませんが、ローソク足分析の理論は、現代においても相場の基本として世界中で活用されているのは紛れもない事実です。
豆知識
ローソク足分析では、もともと考案されたのが江戸時代ということもあり、基本的に日足ベースでのチャート分析が基本となっています。
そのため、取引時間が途切れており、多くのケースで1本前のローソク足の終値と次のローソク足の始値にズレが生じています。
しかし、例えばFXをはじめとして、こういったズレが生じない相場もあり、そのままローソク足分析を当てはめにくいように感じるかもしれません。
この場合、単純にローソク足の形状や組み合わせだけを当てはめるのではなく、ローソク足が示す値動きまで遡って理解することをおすすめします。
ローソク足の裏には、その形状を作り出した値動きがあるわけです。
この値動きから理解してしまえばより柔軟にローソク足分析を利用することができるようになり、FXなどにも応用が利くようになるでしょう。
用語
- フォーメーション分析
- 窓
- かぶせ線
- 切り込み線
- 差し込み線
- 入り首線
- あて首線
- たすき線
- 包み線
- はらみ線
- 毛抜き天井、毛抜き底
- 星
- 並び赤、並び黒
- 出合い線
- 行き違い線
- 酒田五法
- 三兵
- 赤三兵、黒三兵
- 赤三兵先詰まり
- 赤三兵思案星
- 坊主三羽
- 同時三羽
- 三空、三空叩き込み
- 三川
- 明けの明星
- 宵の明星
- 三山
- 三尊天井、逆三尊底
- 三法
- 上げ三法、下げ三法
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