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移動平均線乖離率とダイバージェンスで仕掛けるフライングトレード

2022年07月25日 公開 
2024年11月18日 更新
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相場の転換タイミングを狙う場合、戦略としては逆張りで攻めていきます。

逆張りということはトレンドと反対側へポジションを持つことになるので、トレンドの終わりを見極めることがポイントとなります。

この記事では価格の行き過ぎの反動を狙う移動平均線乖離率と、トレンドの転換や終わりを示唆するダイバージェンスを組み合わせることで、相場の転換をなるべく早く捉えることが可能なのかを紐解いて行きます。

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移動平均線とは価格と移動平均線の乖離率

チャート上に移動平均線を表示している場合、価格と移動平均線が重なっているときもあれば離れているときもあります。

移動平均線乖離率とは現在価格と移動平均線がどれぐらい離れているのかをパーセンテージで表示したものです。

ではなぜどれぐらい離れているのかを知る必要があるのでしょうか?

離れていると何が起きるのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

乖離率とは価格と移動平均線がどれぐらい離れているか

株式や為替の売買では、買われ過ぎたものは売られる傾向があり、売られ過ぎたものは買われる傾向というものがあります。

「平均値に帰る」と表現されますが行き過ぎたものは平均値に引き戻されるという慣性の考えを利用しています。

この買われ過ぎや売られ過ぎを判断する材料として移動平均線とどれぐらい離れているかを目安にするものが「乖離率」です。

通常、価格と移動平均線は重なったり離れたりしながら推移していきますが、時には急激な暴騰暴落により移動平均線と価格が大きく離れてしまうこともあります。

そのようなときに、価格が移動平均線に近づくように価格が引き戻される性質を利用するために、どれぐらいの割合で離れているのかを分析する方法が「移動平均線乖離率」として利用されます。

つまりは価格と移動平均線の離れ過ぎによる反動を狙った分析ということになります。

乖離率の計算式

乖離率の計算式は2つの価格を見比べて行われる単純なものです。

公式は

乖離率 =

(現在価格 ー 移動平均線の価格)÷ 移動平均線の価格 × 100

となっています。

これを例に当てはめていきましょう。

例えばUSDJPYの現在価格が100円にあり、移動平均線が99円20銭にあった場合の乖離率を見てみましょう。

乖離率の模式図

(100.00 ー 99.20)÷ 99.20 × 100 = 0.8

(現在価格)  (移動平均線の価格)   (移動平均線の価格)        (乖離率)

例での移動平均線乖離率は「0.8%」ということになりました。

これは価格が移動平均線よりも下にありマイナス方向に乖離したとしても計算方法は同じです。

例ではプラス0.8%の乖離と表現するのに対して、マイナス側になった場合はマイナス0.8%の乖離と表現します。

計算式に当てはめた時に小さい数字から大きい数字を引くことになりますが、間違いではないので公式通りに計算して構いません。

乖離率を表示するインジケーターを手に入れる

移動平均線乖離率をチャート上に表示できるインジケーターは存在しますが、残念なことにMT4やMT5には標準搭載されておりません。

ブローカー独自のチャートソフトを使用している方は初めから搭載されていることもありますので、お使いのチャートソフトの取扱説明書をご確認ください。

ここではMT4に乖離率を表示するまでの方法を紹介していきます。

まずは移動平均線乖離率を表示するインジケーターをダウンロードします。

検索ソフトで「乖離率 ダウンロード MT4」と検索すると無料でダウンロードできるインジケーターがたくさん出てきます。

サインが出るものや、設定が細かくカスタマイズできるものなど色々ありますので、お好みのインジケーターをダウンロードして下さい。

この記事ではシンプルで使いやすかった「Saikix-Kairi」というインジケーターを例にインストール手順を解説していきます。

saikix-kairiのダウンロード先

(画面中央あたりにダウンロードリンクがあります)
※引用元 サイキックスの気絶級バイナリー&FX

次にダウンロードしたインジケーターをインストールしていきます。

手順1 メニューバーから「ファイル」を選択

手順2 プルダウンメニューから「データフォルダを開く」を選択

手順3 データフォルダから「MQL4」をダブルクリック

手順4 MQL4フォルダから「Indicators」をダブルクリック

インジケーター導入手順1

手順5 ダウンロードしたインジケーターフォルダ「saikix kairi」を開く

手順6 saikix kairiからIndicatorsへインジケーターファイルをドラッグ&ドロップする

手順7 MT4を再起動する

インジケーター導入手順2

最後にチャートへインジケーターを適用します。

手順1 メニューバーから「挿入」を選択

手順2 プルダウンリストから「インジケータ」を選択

手順3 2つ目のプルダウンリストから「カスタム」を選択

手順4 3つ目のプルダウンリストから「saikix kairi」を選択

インジケーター導入手順3

手順5 「パラメーター入力」タブを選択し、MAの期間設定を行う(画像では25に設定)

手順6 「レベルの表示」タブを選択し、レベルの追加を行うため「追加」ボタンをクリック

手順7 目安にしたいレベルを必要なだけ追加する (画像では上下に0.25%の乖離と0%の位置に設定)

インジケーター導入手順4

上記設定で以下のようにチャートへ設定できました。

インジケーター導入完了

乖離率のパラメーター

乖離率のパラメーターは終値(価格)と移動平均線の価格を使って計算されますので、表示している時間足が短いと乖離率が小さくても十分機能することもありますが、時間足が長くなると乖離率はある程度大きくないと機能しなくなってしまいます。

例えば上述したパラメーターの設定は15分足で使うことを想定しています。

その設定のまま日足に変えてしまうとどうなるか見てみましょう。

乖離率のパラメーター

設定した0.25%の乖離を示した破線の水平線は真ん中あたりに収縮して表示されてしまい、全く機能していないことがわかります。

これは移動平均線の位置が時間足を変えたことで大きくずれてしまったことが原因です。

例えば、同じ場所を参照したときに価格は100円であったとしても99円20銭に移動平均線がある場合と、時間足を大きくして移動平均線の価格が97円になってしまった場合では乖離率は大きくずれてしまいます。

ですので、乖離率には選択する時間足や選択する通貨ペアのボラティリティによってそれぞれ適正な数値を使う必要があります。

また、乖離率の設定値でよく言われる10%~20%の乖離設定値は株式相場を前提に日足をベースとしています。

そのため短い時間足にを使う際にそのままの数値を使っても全く機能しませんので注意してください。

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ダイバージェンスはオシレーターで確認できる

ダイバージェンスとはチャート上に表示される価格が示す形と、オシレーター系のテクニカル指標が示す形が同じ方向を向いておらず、相反する動きを起こしている状態を指します。

チャートの動きとオシレーターの動きを比較したときに、矛盾しているような逆行する動きが確認できたときにトレンドの転換やトレンドの強弱を分析するテクニックのひとつです。

トレンドの終わりを捉えるとはどういったことなのか?

詳しく見ていきましょう。

ダイバージェンスはトレンド中に発生する

ダイバージェンスはいつでも起こるわけではなく、トレンド中にのみ発生します。

例えば相場が上昇トレンド中だった場合、価格は高値と安値を切り上げながら進みます。

高値と安値が切り上がっている場合、オシレーターも価格に合わせて高値と安値を切り上げながら進むことが普通です。

しかし、価格が高値と安値を切り上げながら進んでいる状況であるにもかかわらず、オシレーターは高値を切り上げずに切り下げてしまう現象が起こることがあります。

このような価格とオシレーターが逆行した現象のことを「ダイバージェンス」と呼びます。

簡単に言えばトレンドの継続に対して陰りが見えたと言い換えてもいいでしょう。

チャートで確認するダイバージェンス

それではチャート上ではどのように見えているのか確認してみましょう。

チャートはGBPUSDの5分足、オシレーターはRSI(期間14)を表示しています。

画面中央付近から上昇に転じた価格は高値を切り上げてトレンドを形成しています。

しかし、同じ地点でのRSIは高値を切り上げずに切り上げてしまっています。

この状態がダイバージェンスです。

価格は上昇を継続することを示唆しているにもかかわらず、オシレーターは上昇の終わりを示唆していることになります。

チャートのその後を確認すると、価格は下落しています。

ダイバージェンスの確認

強気と弱気のダイバージェンス

上記の例では下落を示唆するダイバージェンスを見ていただきました。

下落があるということは上昇を示唆するダイバージェンスも、もちろん存在します。

買い方向への動きを「強気」、売り方向への動きを「弱気」と表現することは聞いたことがある方もいるかもしれません。

それにならってダイバージェンスが指し示す方向によって呼び名を変えています。

買いの方向へのダイバージェンスを「強気のダイバージェンス」、売りの方向へのダイバージェンスを「弱気のダイバージェンス」と表現します。

先ほどのチャートで確認されたのは売りの示唆なので弱気のダイバージェンスであったということです。

模式図を載せておきますのでイメージをしっかり確認しておきましょう。

強気と弱気のダイバージェンス

行き過ぎと矛盾が重なれば波が転換する可能性がある

ここまで行き過ぎを確認する移動平均線乖離率と、トレンドの転換を確認するダイバージェンスを別々に覚えてきました。

どちらもトレンドに逆らった逆張りの指標ですので単体で使用しても、さほど信頼度は高くないことが想像できます。

では、この2つが同時に起こった場合というのは信頼度としてはどうなのでしょうか?

移動平均線乖離率とダイバージェンスはトレンド転換のサイン

類似点として挙げられるのは、どちらもトレンドの転換を捉えるためのサインが出るということです。

乖離率は平均値から離れすぎた価格がそれ以上は伸びづらくなった状態になり、平均値へ回帰する反動を使った慣性を目安としています。

ダイバージェンスは、オシレーターが計算した値が価格と逆行する=その方向への優位性が少なくなっていることを目安として売買のサインとしています。

つまりどちらもトレンドの転換で使う指標であるということです。

どちらも波の転換で使うサインであるならば2つが揃った場面で使うというのはどうでしょうか。

組み合わせた場面を見ていきましょう。

乖離率とダイバージェンスの組み合わせ

ふたつの反転根拠を組み合わせますので、価格と移動平均線との乖離が起こっているときに価格と乖離率でダイバージェンスが起こっている場面ということになります。

言葉でいうとややこしいので実際のチャートで見てみましょう。

チャートはEURUSDの15分足、サブウィンドウに表示されているのは移動平均線乖離率で移動平均線は期間25、レベルは0.25で設定しています。

わかりやすいようにメインチャート上に期間25の移動平均線を表示しています。

画面右側の赤丸と画面中央の赤丸の位置では安値は切り下がり下降トレンド中となっています。

しかし同じ場面の乖離率を見てみましょう。

乖離率はどちらも-0.25を超えていますが、右側の青丸の位置と中央の青丸の位置で安値側の切上げが行われ、価格と乖離率でダイバージェンスが発生しています。

つまり価格と移動平均線の乖離が起こっている状態で、乖離率とのダイバージェンスが発生したという、ふたつの転換示唆が同時に起こっているということになります。

その後価格は上昇へ転じています。

乖離率とダイバージェンスの組み合わせ

乖離率とダイバージェンスを使ったフライングトレード

ではこのチャート上で買いのエントリーをするならばどこで行うかということですが、乖離率を使うエントリー方法なので移動平均線との乖離が発生したタイミングが最速となります。

つまりダイバージェンスが発生した2回目の-0.25を割ったタイミングに近ければいいということになります。

先ほどのチャートを使っていくつか買いのタイミングを確認してみましょう。

①のタイミングは乖離とダイバージェンスが発生後、乖離率が0ラインを上抜いた位置からの買いエントリーです。(赤矢印で示した0ライン上抜け)

0を上抜くということはプラス方向へMAが乖離し始めるタイミングとなります。

しかしこれは完全なフライングのタイミングなので、天底を捉えられる可能性もありますがダマシとなって終わってしまうことの方が多いかもしれません。

②のタイミングは乖離とダイバージェンスが発生後に、安値を切り上げた位置からの買いエントリーです。(オレンジ線で示した安値の切り上げ)

安値の切り上げが行われMAの向きも平行に近くなっており、価格が下がりづらい状況が出来上がってきているタイミングでとなります。

エントリータイミングとしてはまだフライング気味ですが、①に比べればダマシとなる可能性は低くなっている場面です。

③のタイミングは乖離とダイバージェンスが発生後、最安値を作った高値を抜いたブレイクアウトでの買いエントリーです。(白線で示した高値のブレイク)

下降ダウの崩壊も重なりMAも完全に上抜けをしているので、反転する根拠が多く集まっているタイミングとなります。

エントリータイミングとしてはフライングはなく通常の転換狙いのタイミングとなります。

しかしダウ理論の崩壊やブレイクエントリーだけでなく、ダイバージェンスや乖離率の根拠も重ねられることで自信をもってポジションを持つことができるエントリーポイントです。

これらすべてのエントリータイミングに言えることですが、流れに逆らった逆張りですのでストップロスの設定はタイトに行うことが一番重要なことになります。

乖離率とダイバージェンスのエントリータイミング
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乖離率とダイバージェンスを組み合わる際の注意点

ここまで移動平均線乖離率とダイバージェンスを使った分析やエントリータイミングを覚えてきました。

しかしいくら根拠が重なるといってもあくまでインジケーター同士の組み合わせにしかすぎません。

ここでは比較的成功率が高い2つの組み合わせとはいえ、このサインを使うにあたっての注意点をいくつか解説していきます。

必ず相場の転換が起こるわけではない

当たり前のことですが、今回ご紹介した場面は相場の転換をわかりやすくするためにわかりやすい場所をあえて選択しています。

例えフライングトレードの③番のタイミングでエントリーできたとしても直後に下落トレンドに回帰する可能性もあります。

移動平均線も乖離率も「過去の価格を基に計算をして算出した過去の数値」でしかありません。

未来の価格を決める力はなく傾向としてそうなりやすいというだけですので、ふたつのサインが揃ったからと言って転換が必ず起こるとは限らないことを念頭に入れて、ひとつの分析としてお使いください。

ボラティリティが無いと意味がない

言い換えればトレンドが出ていないと反転することもないので、値動きが活発に動いていない時は例えサインが出ても効果がない、いやサインが出ることもないということです。

ボラティリティがないと移動平均線との乖離も起きませんし、ダイバージェンスの条件であるトレンド状態にもなりません。

もしサインらしき形が偶然そろったとしても、それはサインではなくボラティリティが無いためにそういう形になってしまっただけですので、値動きの大きさは必ず確認しておきましょう。

一方的な相場に弱い

今回ご紹介したテクニックは相場の転換を捉える逆張りの手法です。

そのためアベノミクスの時のUSDJPYや、ウクライナ戦争の際のUSDJPYのようなファンダメンタルに起因する一方的な相場が出来上がってしまったときは、ほとんど機能しなくなります。

とはいっても一方的な相場になるかどうかは後になってわかることですので、この分析を使っての取引で何度も同じような場面で損切りになってしまうようなときは、使用を一時中断するなどの対策も必要です。

まとめ:収縮と拡散の意味を理解しよう

最後に移動平均線乖離率とダイバージェンスの組み合わせが何故有効に機能するのかを簡単に解説したいと思います。

移動平均線乖離率は過去の一定期間の平均値である移動平均線から価格が離れていることを視覚的に教えてくれるものです。

平均値から離れるということは、価格が拡散している状態ということです。

価格は収縮と拡散を繰り返しながら形成されていきますので、価格の波はジグザグと上下動を繰り返しながら作られていきます。

移動平均線から離れ拡散された価格が収縮していくという反動を狙ったものが、乖離率ということになります。

またダイバージェンスが確認できたということは、価格は上昇したいと思っているがオシレータは上昇したくないと思っているという矛盾がチャート上に発生しています。

ダイバージェンスが発生するのはトレンド中だとお伝えしました。

トレンドがでて価格が上がり続けているということは拡散中ということになります。

そしてこれまでの平均値へ価格が収縮していくタイミングを教えてくれるのがダイバージェンスです。

つまりふたつの反転サインはどちらも価格が拡散から収縮へ向かうタイミングを教えてくれているものだということです。

価格が収縮と拡散を繰り返しているということを理解しておけば、今回の記事の内容を今後の取引に役立てることができます。

ダイバージェンスの全てをまとめた記事です。

この記事では乖離率とダイバージェンスについて詳しく説明しましたが、ダイバージェンスについてさらに詳しく知りたい場合は、ダイバージェンスまとめ記事を参考にしてください。

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著者
Runchaテクニカル分析チーム
チーム紹介ページ

日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト|4大監査法人出身者|TradingViewインジケーター開発者|EA開発者|

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監修者
山中康司

有限会社アセンダント

学歴: 慶應義塾大学卒業

著書: 『FXチャート分析マスターブック FX ボリンジャーバンド常勝のワザ』(2013年12月)

来歴: アメリカ銀行バイスプレジデント → 日興シティ信託銀行為替資金部次長を歴任。・金融コンサルティング会社アセンダント設立。金融リテラシー協会代表理事を務める。



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内田 まさみ ラジオNIKKEI
日経CNBCの番組パーソナリティ
経済雑誌多数連載中
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