アセットアロケーションとは？ポートフォリオとの違いや決め方を解説

2024年09月04日 公開　
2024年09月10日 更新

投資を始めたけれど、どの資産にどれくらいの割合で投資すればよいかよく分からないという方も多いのではないでしょうか？

異なる資産に投資資金をどの程度の割合で配分するかを決めることを「アセットアロケーション」といいます。

自身のライフステージに合った投資戦略をとるためには、このアセットアロケーションを決めることが重要です。

この記事では、アセットアロケーションの基本的な考え方から、ポートフォリオとの違い、具体的な決め方まで詳しく解説しています。

この記事を読んで、アセットアロケーションを理解し、自分に合った資産運用方法を見つけてみてください。

アセットアロケーションとは

アセットアロケーションとは、株式や債券、不動産、現金などの異なる資産に投資資金をどの程度の割合で配分するかを決めることです。

複数の資産に分けて投資を行うことで、特定の資産による価格変動リスクを軽減し、安定したリターンを目指すことができるようになります。

特に、長期的に資産を安定運用するために、アセットアロケーションは重要な要素の一つです。

アセットアロケーションとポートフォリオの違い

アセットアロケーションとポートフォリオは、資産運用の中で混同されやすい用語ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。

先ほど解説した通り、アセットアロケーションは投資可能な資産全体を見て、どのように投資資金を配分するのかを指します。

一方、ポートフォリオは、実際に保有する投資商品の組み合わせです。

つまりポートフォリオは、アセットアロケーションで決定した配分に基づき、具体的な投資商品を選定して構築されます。

例えば、アセットアロケーションで株式に50％、債券に30％、不動産に20％投資すると決定した場合、その割合に従って具体的な株式、債券、不動産関連の投資商品を選び、ポートフォリオを形成します。

アセットの種類とその組み合わせ方

個人投資家が投資可能なアセット（資産）には、主に以下の4種類があります。

• 株式：ハイリスク・ハイリターンになる場合がある
• 債券：安定したリターンを期待できるが、利回りは一般的に低い
• 不動産：賃貸収入や資産価値の上昇による利益を期待できる
• 現金：リスクとリターンが最も低い

上記のアセットをリスクとリターンのバランスを考えて適切に組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを分散し、安定したリターンを目指すことができるでしょう。

例えば債券と現金の割合を多くすると保守的な資産配分だといえます。一方で、株式の割合を高めると積極的（ハイリスク・ハイリターン）な資産配分となります。

アセットアロケーションの決め方

アセットアロケーションを決定する際には、以下の4つの要素を考慮する必要があります。

• 投資目的
• 投資期間
• リスク許容度
• 現在の資産状況

投資目的

投資目的は、資産運用のゴールを明確にするために必要です。

老後の資金や子供の教育費、住宅購入資金など、具体的な目標があることで、適切なリスクとリターンのバランスを取ることができます。

例えば老後の資金を目的とする場合、長期的な資産形成を目指して投資計画を立てられます。一方で、子供の教育費を目的とする場合は、比較的短期間の投資計画を立てる必要があるのです。

投資期間

投資期間は、資産の成長とリスク管理のバランスを取る上で重要です。

例えば、短期的な投資は価格変動の影響を受けやすいので、安定的な資産成長を求める人はリスクを抑えた資産配分を行わなければなりません。

一方、長期的な投資では後から資産配分を見直すことも可能なので、安定的な資産成長を求める人であっても最初のうちはリスクをとった投資も選択肢に入れられます。

リスク許容度

リスク許容度とは、投資においてどの程度の損失を許容できるかを示す指標です。

リスク許容度が高い投資家は、株式などのリスクの高い資産を多く含む資産配分ができます。

一方でリスク許容度が低い投資家は、債券や現金などの安定した資産へ多くの投資をすることになります。

現在の資産状況

最適なアセットアロケーションを決定するためにも、既に保有している資産の配分を把握しておきましょう。

既存の資産の配分を理解することで、過度に偏った投資を避け、リスクとリターンのバランスが取れた投資ができるようになります。

投資家のライフステージに応じたアセットアロケーションの例

投資家のライフステージに応じたアセットアロケーションの例を、年代別にみていきましょう。

20代や30代はリスクをとる

20代や30代はリタイアまで時間があるので、投資でリスクを取れる余地も大きいです。

したがって株式を70％、債券を20％、不動産を5％、現金を5％といった、ハイリスク・ハイリターン気味の資産配分が可能です。

40代や50代は安定重視

40代、50代などリタイアが近づく年齢になるにつれて、リスクを抑えた安定運用に重点を置く必要が出てきます。

そうなると株式の比率をさらに下げ、債券や現金の比率を増やすことになります。

市場環境に応じてリアロケーションも行う

市場環境の大きな変動や個人のライフステージの変化に応じて、アセットアロケーションそのものを見直し、再構築することを「リアロケーション」と呼びます。

リアロケーションを適切に行うことで、変動する市場環境や個人の状況に柔軟に対応し、長期的な資産形成に役立ちます。

1990年～2009年かけて株式市場は下落トレンドを形成して、大幅に下落しました。

チャート：TradingView

日経225/1月足/2024.8.21

このような場合、リスクを抑えるために株式の比率を減らして安全な債券と現金の比率を増やすことで、リスクを軽減できます。

なお、リアロケーションは「リバランス」は異なります。

リバランスとは、資産の価値が変動して当初のアセットアロケーションの投資配分が崩れた際に、元の配分に戻す作業です。

まとめ：市場状況に応じた資産配分をしてリスクを管理しよう

この記事では、アセットアロケーションの基本的な概念から、その重要性、決め方についてまで詳しく解説しました。

アセットアロケーションは、投資リスクを分散し、安定したリターンを目指すための重要な戦略です。

また市場環境や自身のライフステージの変化に応じてリアロケーションを行うことで、より効果的な資産運用が可能になります。

アセットアロケーションを適切に行い、長期的な資産形成を目指して、リスク管理を徹底していきましょう。