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【体験談】リーマンショックで老後資金がマイナス400万円の痛手…!58歳FXトレーダーの楽観的判断の代償

2024年11月11日 公開 
2024年11月12日 更新
58サイトレーダーの体験談 - リーマンショック
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順調に利益を出していたFX取引が一転

「まさか、こんなことになるとは…」

北海道在住の高橋正雄さん(当時58歳・仮名)は、パソコン画面を前に、ただ呆然と座り込むしかありませんでした。

高橋さんがFX取引を始めたのは2006年頃。退職後のゆとりを持った生活のため、年金以外で収入を得る手段を探していたときにFXと出会いました。老後用の貯蓄から取り崩した800万円を元手に、毎晩デイトレードをするようになった高橋さん。安定した成績とはいきませんでしたが、月間で数十万円の利益を出したこともあり、それなりに順調だったそうです。

しかし、2008年のリーマンショック相場に、大きな落とし穴が待っていました。

※当時のドル円の週足チャート(TradingView)

「その日は米ドル円で取引していたのですが、いつもより大きく数万円の含み損を抱えていました。『すぐに戻るでしょ』という軽い気持ちで、ポジションを大きく持ち越してしまったんです」

翌朝、相場をチェックした高橋さんの顔が青ざめます。夜間に円高が大きく進行して、含み損が十万円以上に急拡大していたからです。慌てて損切りするタイミングを探りますが、ドル円相場はさらに下降を続けていきました。

「ここであきらめて決済すれば良かったんですが、少しでも損失を減らしたくて、ナンピン(追加取引で単価を平準化すること)でなんとかしようとしました。でも、その後はさらに円高が加速してしまって…。ポジションが大きくなったせいで損失はすごい勢いで増えるし、どうしようもなくなってしまいました」

損失が膨らんでいく恐怖心から、高橋さんは相場が気になって夜も満足に眠れない生活を送ることになります。そして、400万円近くまで損失が膨らんだところで、高橋さんはとうとう決済する決意をしたそうです。

「生きた心地がしませんでした」と語る高橋さん、これを最後にFX取引からは手を引いたとのこと。老後の生活資金として大切に貯めてきたお金を大きく減らすという、悔やんでも悔やみきれない結果となってしまいました。

資金半減に至った分岐点は?

高橋さんが資金を半減させてしまった主な要因は、次の2つの行動にあります。

  • 安易にポジションを大きく持ち越した
  • 損失が膨らんだところで無計画にナンピンした

ポイントは、「安易に」「無計画に」というところ。何かしらの根拠があったわけではなく、損失を確定させたくないという感情に流されての行動です。これは、相場が自分の思惑通りに動かなかったときにどうするのか、トレードルールを明確にできていなかったことが大きく影響していると考えられます。

また、当時はサブプライムローン問題によって欧米銀行が大きな痛手を受けるなど、市場は混沌とした状態にありました。これに対応して米国政策金利の引き下げが進んでおり、ドル安円高が進むシナリオも考えられたはずです。

そんな中で助かりたい一心で円安方向にポジションを膨らませたのは、リスクが大きい選択だったといえるでしょう。

データで見る退場トレーダーの特徴

FXにおける大失敗を避けるには、どうすれば良いのでしょうか。FXで安定的に利益を得ている人(以下、「FX上級者」と表記)とFXをやめた人を対象に行った弊社の調査(後述のリンク参照)において、次のような興味深い結果が出ています。

FX取引においてトレードルールを決めていた人の割合(FX上級者)

FX上級者にトレードルールが決まっているか質問したところ、エントリー/取引数量/利食い/損切りのいずれの局面でも、大半の人が「明確に決めている/何となく決めている」と回答する結果となりました。また、ほぼ半数が「明確に決めている」と回答しており、トレードルールを重要視している姿勢が見られます。

続いて、同様の質問をFXをやめた人に行った結果です。

FX取引においてトレードルールを決めていた人の割合(FXをやめた人)

FXをやめた人についても、過半数が「明確に決めている/何となく決めている」と回答していますが、FX上級者に比べると低い割合です。特に、「明確に決めている」と回答した人はかなりの少数派となっていることがわかります。

高橋さんも、トレードルールが曖昧だったところがありました。適切なトレードルールを明確に決められるか、それをしっかり守って投資判断し続けられるか。これが、リスクを抑えながらFXに取り組んでいく上で、非常に重要な要素になると考えられます。

暴落相場を乗り切る上での5つのポイント

リーマンショック時の高橋さんのケースは、FX取引における典型的な失敗例のひとつでしょう。最後に、このような失敗を防ぎ、うまく暴落相場を乗り切るためのポイントを5つ紹介します。

1.トレードルールを明確に決める

エントリー条件・損失確定ライン・利益確定ライン・取引数量など、トレードに関するルールを具体的に決めましょう。感情的な判断を避けるため、相場が不利な方向に動いた際の対応も、冷静なときにあらかじめ決めておくことが重要です。

2.決めたトレードルールを守る

事前にルールを決めても、それを守らなければ意味がありません。特に含み損を抱えたときに、「明日は戻るはず」という希望的観測に流されないようにしましょう。損失確定が心理的に辛い人は、逆指値といった自動で執行している注文方法を活用するのもひとつです。

3.大きな市場動向を把握する

FXの短期トレードではチャート分析が重要になりますが、市場ニュースについても大きなものはしっかりチェックしておきたいところです。相場に関する背景情報を理解することで、ショック相場の兆候を察知したり、適切な警戒心を持って取引に臨んだりできるようになります。

4.最悪のシナリオも想定してトレードする

リスクを抑える上で大切なのは、自分の思惑とは逆方向に相場が動いたときに適切に対応できること。ポジションを持つときは、自分が期待するシナリオだけでなく、最悪のシナリオも必ず頭に入れておくようにしましょう。

5.暴落相場を事前に体験しておく

暴落相場では、普段にはない激しい動きが起こります。実際の暴落時に冷静に判断するためにも、シミュレーションツールやアプリを活用して、過去の暴落相場を疑似体験しておくことをおすすめします。

リーマン・ショックを体験できる!本格FX練習アプリ Runchaの詳細ページ

FXは資産を増やすための有効な手段となり得る一方で、暴落相場で大きな損失を出してしまうトレーダーも少なくありません。上記の5つのポイントを意識して、大失敗のリスクを抑えながら、上手にFXと付き合っていただければと思います。

著者
Runchaテクニカル分析チーム
チーム紹介ページ

日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト|4大監査法人出身者|TradingViewインジケーター開発者|EA開発者|

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監修者
山中康司

有限会社アセンダント

学歴: 慶應義塾大学卒業

著書: 『FXチャート分析マスターブック FX ボリンジャーバンド常勝のワザ』(2013年12月)

来歴: アメリカ銀行バイスプレジデント → 日興シティ信託銀行為替資金部次長を歴任。・金融コンサルティング会社アセンダント設立。金融リテラシー協会代表理事を務める。



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内田 まさみ ラジオNIKKEI
日経CNBCの番組パーソナリティ
経済雑誌多数連載中
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