投資家デビュー大調査!投資金額は「100万円未満」が半数、投資したのは「国内株式or投資信託」が圧倒的だが…初心者が注意すべき<6つのポイント>とは?
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継続的な超低金利と、物価上昇が見込まれる現在の日本において、資産運用の重要性はかつてないほど高まっています。しかし「投資」に高いハードルを感じ、なかなか資産運用を始められない人も多いようです。本稿では、資産ポートフォリオ「現預金100%」の39歳・会社員を例に挙げ、投資デビューを考えている人が押さえておくべきポイントについて解説します。
目次
資金不足で投資が始められない39歳会社員
中堅企業に勤める39歳の佐藤智之さん(仮名)の年収は600万円。資産はもうすぐ800万円に届きそうですが、投資はしたことがなく、資産ポートフォリオはすべて「現預金」です。
佐藤さんは28歳で結婚していて、小学生の子どもが2人います。子どもたちのこれからの教育費を踏まえると、現在の貯蓄では心許ないと感じているようですが、下手に投資に手を出して大切なお金を失いたくないという思いも強く、投資を始めるのはもっと貯蓄が増えてから、と考えています。
佐藤さんの話を聞くと、「友人には投資家が何人もいます。でも、なにも経験がない中で大きなお金をリスクに曝すのは、ギャンブルみたいなものじゃないですか。投資を始めたら毎日気が気でなくなりそうですし、精神的に疲れそうな気もします」と、投資のリスクを過度に恐れているように見受けられます。
佐藤さんは、通勤電車の中でスマホのニュースアプリを開くのが習慣で、投資に関する記事にもよく目を通しています。資産運用の大切さも理解していて、将来的には投資を始めるつもりです。しかし、投資に対するネット上のコメントは後ろ向きなものが多く、それらにも納得してしまう佐藤さん。毎日目を通す記事の中に、投資を始めないことを正当化するための理由を探しているようにもみえます。
少ない資金でも投資は始められる
佐藤さんが投資にハードルを感じている理由の1つとして、投資には必ず大きなリスクが伴うと考えていることが挙げられます。たしかに投資の世界では元本は保証されませんが、投資に回す資金量を調整すれば、そのリスクはある程度は調整可能です。
つまり佐藤さんが投資を始めるにあたって、800万円ある貯蓄のすべてを投資に回す必要はないということです。
投資信託の積み立てを例に挙げれば、毎月の収入から一部を回す形を取れるため、貯蓄に手を付ける必要がありません。極端な話、収入があれば現在は貯蓄0円という人でも積み立て投資を始めることができます。また、株式投資でも数万円単位で購入できる銘柄もありますし、FXも1万円もあれば十分に取引ができます。
このように、投資はかなりの少額から始められるわけです。投資にリスクが伴うことは事実ですが、投資に回す資金を調整すれば、そのリスクもコントロールできます。「投資にはまとまった資金が必要」「投資は難しい」「投資は怖い」というイメージを持つ人は多いようですが、投資を始めるハードルは決して高いものではありません。
実際に少額で投資を始めている人が多いことは、独自に行った調査からも明らかになっています。
投資家デビュー時の投資金額「100万円未満」が約半数
23年7月に行った調査によると、少額の資金で投資家デビューをした人が大半を占めるという結果が出ています。
調査結果をみてみると、投資を始めたときの投資金額は「100万円未満」という人が48.8%と半数近くに上ります。より細かくみると、「50万円未満」が39.9%、「10万円未満」が23.4%でした。
多くの現預金を抱えていても、ほとんど利息は得られず、したがって資産が増えることもない昨今、佐藤さんのように多くの現預金を抱えている人は、投資に積極的になるべきかもしれません。いきなり高いリスクを取って短期的に大きな利益をめざすのではなく、低リスクな安定商品に分散投資すれば、リスクはコントロール可能です。
さらに少額でコツコツと長期運用することで、「ドルコスト平均法」のメリットを享受でき、時間的にもリスクを分散できます。本来、資産形成とは早期に小さく始めて、長期的な目線で安全に資産を増やしていくものなのです。
投資デビューは国内株式/投資信託が多い
続いて、投資デビューした人が、最初はどんな商品に投資したのかをみていきましょう。
上のグラフの通り、最初の投資は1位が国内株式で48.2%、2位が投資信託で32.0%と、上位2つが全体の8割を占める結果になりました。前出の調査と組み合わせると、投資家としてのデビューに際しては、「100万円未満の資金で国内株式か投資信託を購入する」ケースが多いことがうかがえます。
なお、10万円未満で投資デビューした人に限定して集計すると、1位は投資信託の43.7%、2位が国内株式の39.4%でした。リスク分散もでき、少額から始められることから、投資信託を選択する人が多いのかもしれません。
ちなみに日本証券業協会が行った調査によると、2018年にスタートしたつみたてNISAの口座数は、2023年3月末時点では540万口座※1までに大きく増加しています。また下のグラフにあるように、そのうち投資未経験者(2017年10月1日以降に証券総合口座を開設した者)の割合は89.9%※1ということです。
このデータからは、これまで投資をしていなかった層が、つみたてNISAの仕組みを利用して続々と積立投資に挑戦し始めている姿がみえてきます。
※1 出典元)日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2023年3月31日現在)について」
https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/files/nisajoukyou/nisaall.pdf
投資は小さく始めて経験を積むことが重要
投資には、まとまった資金が必要というイメージを持っている人がいるかもしれません。しかし、ここまで紹介したデータをみて、「投資って意外と少額で始められるんだ」と感じた人も多いのではないでしょうか。
もし、「いつかは投資を」と考えているのであれば、いますぐに始めてみることをおすすめします。
佐藤さんは初心者であることを気にしていましたが、最初は誰でも初心者です。始めなければずっと初心者のままですから、早めに最初の一歩を踏み出すことが大切といえるでしょう。
上にみたように、多くの人は小さく投資を始めています。最初から大きな金額を投じる必要はないわけです。投資にはまとまった資金が必要だというイメージは捨てて、小さく始めて経験を積んでいくことを意識しましょう。
初心者が注意すべき6つのポイント
今回は投資には興味があるものの、リスクを過度に恐れてデビューできていない佐藤さんのエピソードを通じ、投資を早期に始めることの重要性を説明してきました。ただし、コントロールできるとはいえ投資のリスクを0にはできないということも忘れてはいけません。最後に、投資デビューにあたり押さえておきたい6つのポイントを紹介します。
大きな資金を投入する必要はない:投資に投入する資金が増えれば増えるほど、リスクは高まります。投資は少額でも始められますから、いきなり大きな資金を投じる必要はありません。とくに初心者のうちは資金を抑えて、知識と理解が深まるとともに金額を増やしていくのがいいでしょう。
大きな利益をねらいすぎない:投資では基本的に、大きな利益を得るには相応のリスクを取る必要があります。大きな利益をねらうということは、同時に大きな損失を被る可能性があるということです。早く資金を増やしたいと思うあまり、過度なリスクを取ることのないようにしてください。
相場の短期的な変動に一喜一憂しない:相場の細かい動きを完璧に予測できる人はいません。日々の価格変動に一喜一憂していては、精神的に疲れてしまい、余計な損失を出すことにもつながります。長期的な視点で、余裕を持った気持ちで投資をすることが大切です。
仕組みを理解せずに投資しない:自分が投資する対象について理解することは必須です。自分がどんなリターンをねらって、どんなリスクを負っているのかが明確になっていないと、想定しない大きな損失を招いてしまうかもしれません。たとえば権利を売買するオプション取引の場合、売りで入ると損失が無限に拡大する可能性があります。このように、仕組みが分かりにくい商品は、理解できないのであれば手を出さないことが鉄則です。
レバレッジのかかる投資に注意する:信用取引やFXなど、レバレッジ取引ができる投資は、相場状況によっては元本を上回る損失が発生することがあります。挑戦する場合は、あらかじめロスカットの基準を定めておくなど、リスク管理を徹底することが大切です。
無理ないペースで投資する:短期的に利益を挙げ続ける必要のあるプロは日々、複雑な取引を行っています。しかし、一般投資家は難しいことをせず、自分のペースで運用することが重要です。投資のプロが運用を代行してくれる投資信託など、負担の少ないものから始めて、徐々に金額を増やしたり新しい商品に挑戦したりしながら、投資の幅を広げていくといいでしょう。
投資にはリスクが伴いますが、これらのポイントを押さえておけば、投資を過度に怖がる必要はありません。まずは少額から投資を始め、経験を積む中で投資スキルを磨いていくことが重要です。