株価を読み解くボリンジャーバンド その使い方を解説
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目次
ボリンジャーバンドはトレンドを視覚的に確認できるインジケーター
ボリンジャーバンドとは、アメリカの投資家でありアナリストでもあった「ジョン・ボリンジャー」によって開発されたテクニカル指標のひとつです。
指定した期間から計算した標準偏差によって未来の価格変動の範囲を測定したり、その広がり方や傾きによって視覚的にトレンドの有無やボラティリティの強さなどを把握できるため、株式取引だけにとどまらず使用者の多い人気のあるインジケーターです。
ボリンジャーバンドの構成
ボリンジャーバンドは価格の平均値を表す移動平均線を中心として、上方向に位置するラインを「+1σ(プラス1シグマ)、+2σ、+3σ」、下方向に位置するラインを「−1σ(マイナス1シグマ)、−2σ、−3σ」と表記します。
この上下のラインを「バンド」と呼び、このバンドが広がったり狭まったり、傾いたりすることで、視覚的にボラティリティを把握したり、トレンド、レンジの判断をすることができます。
標準偏差はばらつきを表す
標準偏差とは一定期間のデータの平均値からプラスマイナス方向にどれぐらいばらつきがあるのかを計算した数値で、計算された範囲内に収まる確率を表したものです。
一定期間内の平均値のばらつきが大きい=ボラティリティが高いとされ標準偏差の数値は高くなります。
標準偏差の単位は「σ(シグマ)」を用いて表され、各σ(シグマ)内に収まる確率は以下の通りです。
- ±1σ(シグマ)内に収まる確率 68.27%
- ±2σ(シグマ)内に収まる確率 95.45%
- ±3σ(シグマ)内に収まる確率 99.73%
株価の動きを読み解くボリンジャーバンドの動き
株価の現在の状況を把握する方法として、ボリンジャーバンドを使って視覚的に認識しやすくすることができます。
ここではボリンジャーバンドが見せる動きの名称とともに、その動きの時には相場はどういった状況なのか、ということを解説していきます。
株価の収縮を捉えるスクイーズ
スクイーズとはボリンジャーバンドの上下にあるバンドの幅が狭まってきている状況を指します。
同時にバンドの中央にある移動平均線と共にバンドの傾きが平行になっていく特徴もあります。
スクイーズを起こしているときは、株価の変動幅が小さく価格がもみ合っているレンジ相場を形成していることを表しています。
株の売買バランスが拮抗しているのでどちらに動きやすいかわかりづらく、長期保有の取引は控えた方がいいと判断することができます。
株価の拡大を捉えるエクスパンション
エクスパンションとはボリンジャーバンドの上下のバンドが口を広げるように大きく広がっている状況を指します。
株価が上方向、下方向どちら側に向かってもバンドは上下に大きく広がるのが特徴です。
エクスパンションが起こったときは、価格の変動幅がこれまでよりも急激に大きくなりこの後に株価が大きく動く可能性を知らせてくれています。
特にスクイーズの状態からエクスパンションを起こしたときは、新たなトレンドの始まりの可能性があるので見逃せない動きとなります。
トレンドの継続を捉えるバンドウォーク
バンドウォーク とはエクスパンションが起こった後にボリンジャーバンドの±2σに沿って株価が推移している状態を指します。
トレンドが発生し、価格が一方向へ偏っている時にしか発生しません。
バンドウォーク が発生しているかどうかの目安として±2σに沿って価格が動いているだけでなく、価格が動いている方向とは逆側のバンドがエクスパンションを終え価格が伸びている方向へ向き、ボリンジャーバンド全体がトレンド方向へ傾いているかどうかを確認するといいでしょう。
価格が±2σから離れ移動平均線を割ってくると、バンドウォーク が終わりスクイーズへ向かう可能性が高まったことを知らせます。
株式売買でのボリンジャーバンドの使い方
ボリンジャーバンドの動きによる状況把握の方法を覚えたら、次はそれをどう取引に活かすかが重要になります。
ここでは株式売買でどのようにボリンジャーバンドを活用すればいいのか、売買のサインとなるタイミングはいつかなど、実際の取引で使える手法をご紹介します。
初動を捉えるボラティリティ・ブレイクアウト
ボリンジャーバンドがエクスパンションを起こしたときは、ボラティリティ(価格の変動幅)が急激に大きくなるときでした。
この価格の変動幅が大きくなる瞬間の初動を狙っていく手法がボラティリティ・ブレイクアウトです。
価格がもみ合いボリンジャーバンドがスクイーズを起こしている状況下で、価格が±2σを超えてきたときはそのままエクスパンションを起こす可能性があります。
その勢いに乗りトレンドの初動を捉え大きな利益を目指す方法です。
注意点として、スクイーズが起きている状況下で価格が±2σを超えたとしても必ずしもエクスパンションが起こるとは限らないということです。
そのためボリンジャーバンド単体ではなく他のインジケーターを重ねて表示し、相場の向かいやすい方向へ優位性が確認できたときだけポジションを持つなどの工夫が必要です。
トレンド相場についていくバンドウォークを使ったトレンドフォロー
価格が±2σに沿うようにトレンドの方向へ伸びていく動きがバンドウォーク でした。
となればこの動きに乗ることができれば利益を伸ばすことができるはずです。
このバンドウォーク を見極め、トレンドが発生している中でも少しでも有利な位置から売買を行うのがバンドウォーク を使ったトレンドフォロー手法となります。
ポイントは±2σに重ねて±1σを表示することです。
バンドウォーク が起こっているときの株価の動きは+2σと+1σの間で挟まれたように推移するので、その動きを基に+1σにタッチしたタイミングで押し目買いを行います。(買いの場合)
いわゆる王道のトレンドフォローのタイミングを、ボリンジャーバンドを使って売買判断を行うということです。
レンジ相場で使える統計学を使った逆張り
ボリンジャーバンドの±2σの中に価格が収まる確率は95.44%でした。
この統計学に基づいた確率を使って、価格がレンジを形成している状況で価格が±2σにタッチしたタイミング、または±2σを抜いて再度潜り込んできたタイミングを狙って逆張りによる売買を行う手法です。
例えば+2σにタッチしたタイミングで売り、−2σにタッチしたタイミングで買いを行うイメージです。
ポイントはボリンジャーバンドがスクイーズを起こしている時や、平行で推移している時のみこの手法を使用することです。
ボリンジャーバンドが傾いている時に逆張りをしてしまうと、価格はその方向へ動きやすい特性があるので思わぬ損失を招く恐れもあります。
使いどころを間違わないようにしっかり覚えておきましょう。
株式売買でボリンジャーバンドを使用する際の注意点
ここまでボリンジャーバンドを使った売買方法などをご紹介しましたが、とは言えボリンジャーバンドも万能ではありません。
実際の取引で注意しなければいけない点も含め、よくある間違いなども合わせて解説していきます。
バンド内に必ず価格が収まる保証はない
ボリンジャーバンドの±1σ〜±3σの中に価格が収まる確率は冒頭でご紹介しました。
では±3σ内に収まる確率が99%だからと言って、それを基に取引をすれば勝率が99%になるかと言えばそうではありません。
この確率はあくまでも過去の指定した期間から計算されたもので、未来の価格がこの中に収まるという保証ではないからです。
過去から計算された傾向であるという点を念頭に置いて盲信しすぎないようにしましょう。
逆張りは本来の使い方ではない
ボリンジャーバンドを使用したレンジ内での逆張り手法をご紹介しましたが、この逆張りはボリンジャーバンドの本来の使い方ではありません。
トレンドとボラティリティを視覚的に判断しやすくするためのテクニカル指標というのが本来の使い方ですので、±2σや±3σにタッチしたからといってすぐに逆張りをするというのは負けが先行する原因にもなりますので、使いどころはしっかり見極めましょう。
急変動には対応できない
ボリンジャーバンドは過去の指定した期間から計算されたバンド幅を表示しております。
そのため、指定した期間のボラティリティを超えるような急変動が起こった場合は簡単に±3σを突き抜けていきます。
その後にその急変動が計算に組み込まれていき、後から見れば±3σに収まっているように見えます。
急変動に対応できるテクニカル指標はありませんので、取引をする際はテクニカル指標に頼り切らず急変動に備え損切りを必ず設定するなどをしておきましょう
まとめ:ボリンジャーバンドは値動きを視覚的に把握できる
ボリンジャーバンドは株価のトレンド状況とボラティリティを視覚的に捉えることができる優れたテクニカル指標です。
売買サインとしても多くの場面で機能するためサインツールとして使いがちですが、相場状況を把握するためのものであることをしっかり認識し、有効に株式売買にいかしていただければと思います。
また、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで信頼度が2倍にも3倍にもなることもあります。
単体で使用せずにご自身の取引スタイルに合わせた組み合わせで使用することをお勧めします。
ボリンジャーバンドの全てをまとめた記事です。
この記事ではボリンジャーバンドを使った株価の認識の仕方ついて詳しく説明しましたが、ボリンジャーバンドについてさらに詳しく知りたい場合は、ボリンジャーバンドまとめ記事を参考にしてください。