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FX・暗号資産にも挑戦する26歳「投資女子」とリスクを取らない57歳「サラリーマン投資家」…成果への満足度に表れた顕著な差

2023年07月21日 公開 
2024年11月06日 更新
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超低金利の環境下にある日本では、投資による資産形成の重要性が強く指摘されるようになっています。ただ、一口に「投資」といってもアプローチは人によってさまざま。本稿では、「Z世代」と「バブル世代」の投資家2人を例に挙げ、世代による投資アプローチの違いを解説します。

「Z世代」と「バブル世代」の投資事情

投資家が100人いれば、投資アプローチも100通り。いつ、どんな金融商品に、どの程度の金額を投じ、どの程度のリスクを許容するのかは人によって異なります。

とくに世代ごとの投資行動の違いには、着目すべき点が多くあります。

まずは、IT企業に勤める26歳の女性、西原さん(仮名)と、同じくIT企業勤務の57歳の男性、東さん(仮名)の投資事情から、Z世代とバブル世代の投資アプローチの違いをみていきます。

スマホを使いこなして情報収集する26歳・投資女子

IT企業に勤める26歳の西原さんは、社会人になってからすぐに投資を始めました。最初は分配金目的でつみたてNISAから始めましたが、現在では外国株式やFX、暗号資産にも挑戦しています。フィンテック領域にも興味があり、日々勉強の毎日です。

西原さんは投資判断において経済ニュースや企業業績などをとくに重要視していて、情報収集に余念がありません。

スマートフォンには投資関連のアプリがずらりと並んでおり、昼休みにはそれを使って相場をチェックするのが日課。また、SNSも「ほかのトレーダーの相場の動きに対する生の反応が見えて勉強になる」と、積極的に活用しています。

現在では、平日の夜や休日を使って、FXや暗号資産の短期トレードに力を入れています。

短期トレードではテクニカル分析の重要性が増すため、パソコンの前でチャートを分析する時間が増えてきたそうです。「短期間でのFIRE達成」といった話にあこがれていて、もっと知識を磨いて短期トレードで大きな利益を得たいと考えています。

直近1年間の投資成果は「金額的にはまだまだ」とのことですが、しっかりとプラスの利益を確保できており満足しているようです。現在の投資資金は100万円ですが、FIREをめざして、多少のリスクは気にせずに大きく増やしていきたいと考えています。

経験に基づく“勘”で投資判断する57歳・サラリーマン投資家

同じくIT企業に勤めている東さんは、ITバブルが騒がれた2000年頃に興味を持って株式を購入したのが最初で、投資経験は約20年です。投資対象はずっと国内株式の現物取引。リスクは抑えたいという思いもあり、レバレッジのかかる信用取引には手を出さないのがモットーです。

現在は習慣的に読んでいる新聞や経済誌で気になった銘柄を直感的に購入して、上がるまで待って売るというスタイル。うまくいけば2~3ヵ月ほどで売却して利益を手にしています。ただ、うまくいかなかった場合はなかなか売却に踏み切れないことも多く、損切りするまでに数年間塩漬けにすることもよくあったとのこと。

東さんの大きな成功体験はアベノミクスの頃。株式市場全体が大きな上昇相場となって、買えば儲かるという感覚で、このときに投資資金も大きく増えて1,000万円に乗せることができました。ただ、そのまま一本調子で資金を増やしていくことはできず、その後は伸び悩んでいるそうです。直近1年間の投資成果は大きな失敗こそしていませんが、利益もそれほど出ていません。

ちなみに投資資金とは別に定期預金を中心とした貯蓄があり、貯蓄のお金を投資に回すことは絶対にしないようにしているそうです。リスクに対して敏感で、投資もできるだけリスクは取らないという考え方です。

投資に対する姿勢が成果に直結している可能性

直近1年間の投資成果について、西原さんはやや満足とポジティブに捉えているのに対して、東さんは可もなく不可もなくという感想。経験豊富な東さんよりも、若い西原さんの方が良い成果が出ているように見えますが、この結果には2人の投資に対する姿勢が影響しているのかもしれません。

西原さんは日々情報収集に励みながら投資に関する経験値を積み重ねており、テクニカル分析も学びながら投資判断の精度を上げようと努力しています。またその情報収集はデジタルネイティブらしく、パソコンやスマートフォンのさまざまなツールを使いこなしており、SNSも活用して幅広い情報に触れているのも特徴です。

それに対して東さんは投資歴は長いものの、いまでは投資の勉強に時間を使うこともなくなり、経験頼りの直感的な投資を行っています。情報源は新聞や経済誌が中心で、得ている情報には即時性がありません。

こういったことを踏まえると、西原さんの方がより良い成果を得られたのは自然なことのようにも考えられます。実はこのような傾向は西原さんと東さんの2人だけに特有のものではなく、Z世代とバブル世代全体にもみられるものなのです。

若い人の方が投資の分析を真面目に行う傾向あり

世代による投資アプローチの違いを分析した独自の調査によると、世代が上がるほど投資判断を行うにあたって分析をおろそかにする傾向があることが明らかになりました(※本調査では、20~29歳をZ世代、30~39歳をミレニアル世代、40〜49歳を氷河期世代、50〜59歳をバブル世代、60歳以上をシニア世代と表現しています)。

投資判断をするために行っている分析方法

上のグラフの薄い水色の部分は何らかの分析を行っている人の割合で、濃い青色の部分は分析を行っていない人の割合です。分析している人の割合はZ世代がもっとも多い74.2%で、バブル世代がもっとも少ない36.9%となっています。

このデータからは、投資判断をするにあたっては、若い人ほど真面目に分析を行っていることが読み取れます。これとは逆に、年代が上の世代ほど直感に基づいて明確な根拠を持たずに投資判断をする傾向が強いことがわかります。

投資成果に対する満足度

また、過去1年間の投資成果について質問したところ、「非常に満足/やや満足」と回答した割合(赤で囲んだ部分)がもっとも多かったのもZ世代で62.2%です。バブル世代の割合は36.9%と最下位でこそありませんが、Z世代に比べると非常に低くなっています。

これらのデータからは、西原さんと東さんのようなケースが決して少なくないことがわかります。投資成果に満足している人の割合がZ世代に多い背景には、投資に向き合う彼らの姿勢が少なからず関係しているようです。

投資を成功させるために意識したい5つのヒント

今回は、西原さんと東さんの投資アプローチの差から、世代による投資成果や満足度の違いを考えてきました。最後に、世代ごとの投資事情から読み取れる、投資による資産形成を成功に導くためのポイントを紹介します。

丁寧に投資判断を行う:経験があっても感覚だけでは運に左右されやすく、投資で安定的に利益を出し続けるのは難しいでしょう。バブル世代に目立つ「勘」による投資ではなく、Z世代の投資家にみられるような、情報収集や分析に基づく丁寧な投資行動が求められます。

新しいアプリやツールを活用する:投資成果に満足している割合が多かったZ世代の投資家の特徴として、さまざまなアプリやツールを使いこなして効率良く情報収集を行っていることが挙げられます。このように新しいものを取り入れていく姿勢は、多くの投資家が見習うべきポイントといえるでしょう。

リスク管理を徹底する:成果に満足している人が多いZ世代の投資家は、短期トレードにおいてはハイリスク・ハイリターンの投資スタイルがうかがえます。しかし、レバレッジのかかる投資では元本以上の損失が発生することもあります。中長期的な資産形成を目的とした投資では、リターンとリスクのバランスを適度に保つことを心がけましょう。

投資目的を明確にする:投資目的は人それぞれで、ライフステージによっても変わってきます。大切なのは自分の目的を明確にして、その目的に最適な投資を選択することです。たとえば東さんのケースでは、リスクを減らしたいと考えながら、目的が曖昧な中で株式投資を続けています。即時性のある情報収集が得意でない場合、プロに細かい運用を任せて手軽に分散投資ができる投資信託を活用してみるのも、一つの選択肢になるでしょう。

投資詐欺に注意する:残念ながら投資の世界には、「簡単に、絶対に」といった謳い文句で投資家を誘惑する詐欺まがいの業者や商材が数多く存在します。スキルアップに近道はなく、投資に絶対はありません。焦らず長期的な目線を持って、地道に資産形成を進めていきたいところです。

世代によって、また個人個人によって、目指すべき投資の形は異なります。さまざまな角度から情報を取り入れ、最適な投資の形を見つけましょう。

著者
Runchaテクニカル分析チーム
チーム紹介ページ

日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト|4大監査法人出身者|TradingViewインジケーター開発者|EA開発者|

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監修者
山中康司

有限会社アセンダント

学歴: 慶應義塾大学卒業

著書: 『FXチャート分析マスターブック FX ボリンジャーバンド常勝のワザ』(2013年12月)

来歴: アメリカ銀行バイスプレジデント → 日興シティ信託銀行為替資金部次長を歴任。・金融コンサルティング会社アセンダント設立。金融リテラシー協会代表理事を務める。



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内田 まさみ ラジオNIKKEI
日経CNBCの番組パーソナリティ
経済雑誌多数連載中
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